「ミルキークイーン」の出穂期を遅くした同質遺伝子系統新品種「ミルキーオータム」

タイトル 「ミルキークイーン」の出穂期を遅くした同質遺伝子系統新品種「ミルキーオータム」
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 次世代作物開発研究センター
研究期間 2006~2016
研究担当者 黒木慎
後藤明俊
佐藤宏之
松原一樹
石井卓朗
山口誠之
小林伸哉
平林秀介
竹内善信
久野陽子
加藤浩
春原嘉弘
井辺時雄
根本博
安東郁男
前田英郎
田中淳一
津田直人
常松浩史
池ヶ谷智仁
太田久稔
発行年度 2016
要約 「ミルキーオータム」は、「コシヒカリ」の低アミロース突然変異品種「ミルキークイーン」の遺伝的背景に、インド型品種由来の出穂性遺伝子Hd5を有する同質遺伝子系統である。育成地における熟期は、「日本晴」と同じ"やや晩"である。
キーワード 水稲、作期分散、低アミロース、同質遺伝子系統
背景・ねらい 低アミロース米水稲品種「ミルキークイーン」は、米飯の粘りが強く冷めても硬くならず良食味であることが市場で高く評価されているが、主力品種「コシヒカリ」と同熟期である。農業従事者の減少と法人化による経営規模拡大が進んでおり、労力や農業機械の競合を分散させるため、作期分散が可能な品種の育成が強く望まれている。そのため、「ミルキークイーン」型の低アミロース米を、「コシヒカリ」より遅い「日本晴」熟期で生産可能な品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 「ミルキーオータム」は、インド型品種「Kasalath」由来の出穂性遺伝子Hd5を有するコシヒカリ同質遺伝子系統品種「関東HD2号」と、「コシヒカリ」の低アミロース突然変異品種「ミルキークイーン」の交雑後代から育成された同質遺伝子系統である。
  2. 出穂性遺伝子Hd5近傍の約625kbp領域以外の染色体領域は「ミルキークイーン」に置換されている(図1)。
  3. 育成地における出穂期及び成熟期は、「ミルキークイーン」よりそれぞれ8日、15日遅く、「日本晴」並の"やや晩"である(表1)。
  4. 白米中のアミロース含有率及びタンパク質含有率は「ミルキークイーン」並である。炊飯米の食味は「ミルキークイーン」並の"上中"である。
  5. 稈長は「ミルキークイーン」並からやや長い"長"、穂長及び穂数は「ミルキークイーン」並の"中"で、草型は"中間型"である。
  6. 精玄米収量及び玄米千粒重は「ミルキークイーン」並である。
  7. 玄米の外観品質は"中中"、高温登熟性は"やや弱"で「ミルキークイーン」並である。
  8. いもち病真性抵抗性遺伝子型は"+"と推定され、葉いもち及び穂いもち抵抗性はともに"弱"である。耐倒伏性は "弱"、穂発芽性は"難"、白葉枯病抵抗性は"中"、障害型耐冷性は"強"で、いずれも「ミルキークイーン」並である。
成果の活用面・留意点
  1. 栽培適地は関東・北陸以西である。静岡県で100ha(2021年度)の普及が見込まれる。
  2. いもち病抵抗性が弱いので、適正な防除を行う。また、耐倒伏性が不十分なので、多肥は避ける。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nics/2016/nics16_s02.html
カテゴリ 病害虫 いもち病 規模拡大 経営管理 新品種 水稲 抵抗性 抵抗性遺伝子 品種 防除 良食味

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