もち性大麦配合ご飯は大麦の割合が高いほど食後血糖値の上昇を抑える

タイトル もち性大麦配合ご飯は大麦の割合が高いほど食後血糖値の上昇を抑える
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 次世代作物開発研究センター
研究期間 2013~2018
研究担当者 神山紀子
青江誠一郎
一ノ瀬靖則
吉岡藤治
小前幸三
髙橋飛鳥
阿部大吾
金子成延
金本郁夫
栁澤貴司
発行年度 2018
要約 β-グルカンを多く含むもち性大麦「キラリモチ」搗精麦の配合比率を変えた麦ご飯は、白米のご飯と比べ、大麦の比率が高くβ-グルカン含量が多いほどグライセミックインデックス(GI)が低く、食後血糖値の上昇を緩やかにかつ低く抑える。
キーワード もち性大麦、β-グルカン、麦ご飯、食後血糖値、GI
背景・ねらい 大麦は穀類の中でも食物繊維、特に水溶性食物繊維であるβ-グルカンを多く含んでおり、大麦を摂取することで肥満、2型糖尿病、冠状動脈疾患のリスクが低減することが期待されている。グライセミックインデックス(GI)は、糖質50g相当量の食品を摂取した際の血糖値の上昇度合いを基準食と比較した数値であり、GIが低い食品は肥満や2型糖尿病のリスク低減に有効とされている。大麦食品のGIに関するこれまでの報告ではパン、麺等でGI値が大きく異なっており、品種や加工形態、配合率、β-グルカン含量等の違いが影響していると考えられる。麦ご飯のGIについての既報ではβ-グルカン含量が不明である。そこで、うるち性に比べβ-グルカン含量が高いもち性大麦品種の消費拡大を目指し、麦ご飯のβ-グルカン含量が食後血糖値に及ぼす影響を解明するため、もち性大麦品種「キラリモチ」を用いて配合比率の異なる麦ご飯を摂取した際の血糖値の変化を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 基準食である白米の米飯と比較して、もち性大麦「キラリモチ」の搗精麦(搗精歩合60%)を30、50または100%配合した麦ご飯の試験食は、配合比率が高いほど糖質50g当たりのエネルギーが大きく、脂質、タンパク質、総食物繊維およびβ-グルカンが多く含まれる(表1)。
  2. 健康な成人10名(男性6名、女性4名)を被検者とし、もち性大麦を配合した麦ご飯を摂取後の血糖値の変化は、基準食を摂取した場合と比較して、もち性大麦の配合比率が高いほど血糖推移最高値(ΔCmax)が低く、ΔCmax到達時間(Tmax)が長くなることから、もち性大麦の摂取により血糖値の上昇を緩やかにかつ低く抑えることができる(図1、表2)。
  3. もち性大麦を配合した麦ご飯のGI値は基準食(白米150g)に比べて有意に低く、配合比率が高く、β-グルカン含量が多いほどGI値が小さい(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 日常の食事で摂取するご飯を白米から麦ご飯に替える、また大麦の配合比率を高めることにより、食後高血糖を改善し、生活習慣病の予防につながることが期待される。
  2. 本研究は「キラリモチ」を使った結果であるが、うるち性を含む他の大麦品種でもβ-グルカン含量に応じて同様の効果が期待できる。
  3. 本研究のGI値は白米150gを100として換算した値である。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nics/2018/nics18_s02.html
カテゴリ 大麦 加工 消費拡大 品種

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