タイトル | 果樹・果菜類の受粉を助ける花粉媒介昆虫の調査マニュアル |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境変動研究センター |
研究期間 | 2017~2020 |
研究担当者 |
加茂綱嗣 外山晶敏 柳沼勝彦 屋良佳緒利 岸本英成 降幡駿介 新井朋徳 井上広光 上地奈美 土田聡 中野亮 三代浩二 河野勝行 豊島真吾 飯田博之 太田泉 芝池博幸 小沼明弘 前田太郎 日下石碧 平岩将良 釘宮聡一 上原拓也 岸茂樹 舟山健 吉田昂樹 中村傑 貴志学 仲慶晃 江畑真美 下村友季子 土田靖久 大江孝明 中田健 古井佑樹 池田隆政 山本匡将 澤村信生 山本隼佑 角菜津子 戸田世嗣 杉浦直幸 神山光子 田中義弘 俵積田智也 大久保賢一 滝久智 末吉昌宏 中村祥子 園田昌司 香川清彦 横井智之 池本美都 |
発行年度 | 2020 |
要約 | このマニュアルは果樹・果菜類の受粉を助ける花粉媒介昆虫の調査に有用な手法を中心に、受粉のしくみや花粉媒介昆虫の見分け方等について解説したものである。このマニュアルを用いることで、花粉媒介昆虫の働きを適切に評価し、より安定した生産体系の構築に寄与すると考えられる。 |
キーワード | 花粉媒介昆虫、訪花昆虫、受粉、マルハナバチ、ミツバチ |
背景・ねらい | 世界の主要な農作物の75%以上は昆虫類や鳥類・哺乳類などの花粉媒介者に依存している。このような送粉サービスをわが国の農業生産について評価すると、約4,700億円に相当すると試算される。一方、近年の気候変動や生態系の劣化等の影響により、国内外で花粉媒介昆虫の減少が指摘されている。昆虫による受粉が必要な果樹・果菜類を安定的に生産するためには、花粉媒介昆虫の実態を把握し、それらの有効利用に資する知見を蓄積する必要がある。とりわけ野生の花粉媒介昆虫については、農業生産上、セイヨウミツバチに比類する貢献が想定される一方で、個体数の年変動や地域性など解明すべき点が多々残されている。本研究はわが国の主要な果樹としてリンゴ、ナシ、ウメ、カキ、果菜としてカボチャとニガウリを対象に、花粉媒介昆虫の訪花頻度を評価するための標準的な手法を確立するとともに、種同定の手引きとなるマニュアルを作成し、公設試や普及所における試験研究を支援することを目的としている。 |
成果の内容・特徴 | 1.本マニュアルは、調査方法の解説と各作目についての詳細な解説から構成される(図1、2)。 2.主な訪花昆虫は、ミツバチ類、マルハナバチ類、小型ハナバチ類、ハナアブ類、ハナバエ類であるが、その中で小型ハナバチ類とハナバエ類は粘着板トラップによる捕獲が有効である(図3)。 3.ミツバチ類やマルハナバチ類はトラップによる捕獲率が低いが、訪花個体の肉眼での識別が容易であるため、目視による観察・計数に適している(図4)。また、ハナアブ類もトラップによる捕獲率が低いため、ハチ目との誤認に留意しつつ、目視による観察・計数を行う必要がある。 4.カキなど一部の作目では、標準調査法による訪花昆虫数の事例に加えて、その園地における結果率と平均種子数も掲載した。自然受粉が十分であるか判断する際の有益な情報となる。 5.本マニュアルを活用することで、訪花昆虫に習熟していない観察者でも、調査地における主要な訪花昆虫種と訪花頻度を把握することができる。その情報は、人工授粉やミツバチの巣箱導入の必要性、最適な薬剤散布時期等を検討する際に有用であるため、農作業の省力化・低コスト化および生物多様性の保全を通して、より安定した生産体系の構築に寄与する。 |
成果の活用面・留意点 | 1.普及対象:試験研究機関および普及指導機関。 2.普及予定地域・普及予定面積・普及台数等: 全国の果樹(リンゴ、ナシ、ウメやカキ)および果菜類(カボチャやニガウリ)の生産地。 |
図表1 | ![]() |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/niaes/2020/20_053.html |
カテゴリ | うめ かき かぼちゃ 受粉 省力化 低コスト にがうり マルハナバチ ミツバチ 薬剤 りんご |