麹菌チーズ熟成中の酵素活性

タイトル 麹菌チーズ熟成中の酵素活性
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門
研究期間 2018~2020
研究担当者 鈴木聡
大森英之
林田空
野村将
小林美穂
萩達朗
成田卓美
冨田理
山下秀行
荒川洋輔
三浦孝之
佐藤薫
楠本憲一
発行年度 2021
要約 カビを用いて熟成させるナチュラルチーズの風味形成に重要な役割を果たす酵素(リパーゼ及びプロテアーゼ)の、熟成中のチーズカード中での酵素活性を評価することは、チーズ熟成に適した麹菌株を効率的に選抜でき、日本発オリジナルチーズの開発に活用できる。
キーワード チーズ、カビ熟成、麹菌、リパーゼ、プロテアーゼ
背景・ねらい 国際的な貿易交渉の大枠合意に伴い、我が国の酪農産業の競争力強化が課題となっている。国産ナチュラルチーズの製造方法、発酵・熟成用微生物のいずれもが海外由来であり、国産品と輸入品の差別化が難しい。そのため、我が国伝統の醸造技術を活用した、日本発のナチュラルチーズ製造技術の開発が求められている。
そこで、本研究では我が国の醸造食品製造に用いられる麹菌のチーズ製造過程における酵素活性を測定することにより、麹菌株のナチュラルチーズ熟成に対する適性を明らかにする。
成果の内容・特徴 1. 麹菌株(Aspergillus)は市販Penicilliumチーズ熟成スターター(P. candidum, P.roqueforti)との比較においてリパーゼ活性が同等のものと、低いものがあった(図1)。比較的リパーゼ活性の低い麹菌株を熟成に用いることにより、乳脂肪分の分解がPenicilliumチーズ熟成スターターより抑えられ、乳脂肪から遊離する低級脂肪酸量を低減する事ができる。そのため、国内消費者にとって必ずしも好ましくない低級脂肪酸の不快臭が低減されることが期待される。
2. 麹菌株は市販Penicilliumチーズ熟成スターターとの比較においてプロテアーゼ活性が同等のものと、高いものがあった(図2)。比較的プロテアーゼ活性の高い麹菌株を熟成に用いることにより、カゼイン蛋白質の分解がPenicilliumチーズ熟成スターターよりも促進され、熟成の指標の一つであるチーズカードの軟化の促進及び旨味アミノ酸の遊離の増大を実現できる。そのため、製造業者にとっては製品の製造期間短縮によりコストダウンにつながり、消費者に対しても、より旨味の強いチーズを提供できることが期待される。
成果の活用面・留意点 1. チーズ熟成に適した麹菌株が明らかとなる。同様な手法で、更に多くの麹菌保存菌株から、様々な風味に貢献する麹菌株の選抜が可能となる。
2. 本研究成果は、2018年4月~2021年3月にかけて、生研センター「革新的技術開発・緊急展開事業、経営体強化プロジェクト」に参画したコンソーシアムが実施した「独自発酵技術による日本オリジナル・ナチュラルチーズの開発」の中にて担当した1課題の研究成果の一部であり、本研究成果を含む日本オリジナルのソフト系ナチュラルチーズの製造技術全般については、特許出願済みであるため、本研究成果の活用にあたっては、当該コンソーシアムとの実施許諾契約が必要となる。
3. 2.に関連して、本研究成果はチーズ用麹菌株の選抜に資する技術となるが、実際の麹菌チーズ製造には、更に多くの技術が必要となる。麹菌チーズに適したチーズカードの調製方法、麹菌チーズに適した熟成条件、等多くのノウハウがあり、普及にあたっては経営体プロジェクト代表機関の日本獣医生命科学大学から製法について指示を受けることが必要である。
図表1 248918-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/nfri/2021/nfri21_s08.html
カテゴリ 経営管理 コスト 乳牛

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