b.地域条件を活かした飼料用稲低コスト生産技術及び乳牛・肉用牛への給与技術の確立

課題名 b.地域条件を活かした飼料用稲低コスト生産技術及び乳牛・肉用牛への給与技術の確立
課題番号 2008010580
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 (独)農業・食品産業技術総合研究機構,東北研,東北飼料イネ研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,中央研,関東飼料イネ研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,中央研,北陸大規模水田作研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,近農研,中山間耕畜連携・水田輪作研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,九州研,イネ発酵TMR研究チーム
協力分担関係 東京農工大学
筑波大学
新潟県農業総合研究所
埼玉県農林総合研究センター
鳥取県農林総合研究所農業試験場
宮城県農業・園芸総合研究所
愛媛県農林水産研究所畜産研究センター
長野県畜産試験場
千葉県畜産総合研究センター
日本女子大学
研究期間 2006-2010
年度 2008
摘要 地域条件に応じた飼料用稲の栽培管理技術の開発に向けて、1)飼料用稲の追肥に適した、もみ袋等を使用して窒素単肥を流入施肥する簡易な方法を考案し、少ない用水で均一な流入施肥ができることを実証した。また、強害雑草であるタイヌビエの飼料用稲栽培における許容残草量を明らかにするとともに、飼料用稲品種の混植はいもち病発病抑制効果が高いことを現地営農試験地において実証した。2)自脱コンバインと牽引型クローラベーラを用いることにより、専用収穫機よりも能率の高い飼料用稲の収穫方法を考案した。3)飼料イネ用品種は、食用稲品種に比べて稲こうじ病抵抗性が低い傾向にあること、本病害の発生程度と土壌中の病原菌DNA量との間には正の相関があることを明らかにした。4)多用途向け多収インド型水稲品種「北陸193号」は、早植えすることで登熟が改善され、800kg/10a以上の粗玄米収量を得られることを試験ほ場および現地ほ場で確認した。5)苗立ち安定性に劣る省力的水稲直播法において収量を確保するには、播種量を増やすことが有効であることを明らかにし、新潟県佐渡島内の標高320mの中山間棚田において無粉衣種子散播直播で粗玄米収量680kg/10aを達成した。6)小型自走式動力散布機を用いた散布精度の高い水稲直播法を開発した。また、もみ・わら分離同時収穫機を試作し同時作業(わらはロールベール成形)が可能なことを実証した。7)稲発酵粗飼料の生産費低減と高品質化に向けて収穫適期を拡大するため、茨城県結城市で約20haの飼料イネ生産を行う協業組合において、早晩性の異なる5品種と移植・直播を組み合わせることにより作業競合を回避できる作付体系を構築した。8)鳥取県の現地実証農家による飼料用稲乾田直播栽培の取組を指導し、周辺農家の移植栽培における平均(10.1ロール/10a)を上回る収量(11.2ロール/10a)を得た。大区画化ほ場では高速播種の要望が強いことから、ディスク式汎用型不耕起播種機を用いて、3.1m/sと通常の3倍近い播種速度でも安定した苗立ちと12.1 ロール/10aの高い収量が得られることを確認した。9)飼料イネ湛水直播栽培で問題となる田畑共通雑草、特にサイレージに混入すると飼料品質を低下させるアメリカセンダングサとタカサブロウは、ピラゾスルフロンエチル・フェントラザミド粒剤で防除でき、防除適期は稲が1葉期に達する時期であることを明らかにした。10)牛ふん堆肥の施用時期は、飼料イネでは代かき間近、大麦(冬作)では播種1~2週間前に施用することで高い窒素肥料効果が得られること、飼料イネでは堆肥の腐熟度が進むと窒素肥料としての効果は低下するが、大麦では1次発酵が終了した時点での施用効果が高いことを明らかにした。11)飼料イネ品種「Taporuri」およびその難脱粒系統である「THS1」の2回刈り栽培は乾物収量が極めて高い多収栽培法であり、収穫時(1回目)の刈り取り高さやクローラ踏圧の影響は少なく、2回の収穫の合計乾物収量に、これらの要因による違いは認められないことを明らかにした。 高品質サイレージ調製技術の開発に向けて、1)ロールベールをネズミの隠れ場所を作らないように広々と配置するとともに、金網を敷くことにより、殺鼠剤などの毒性物質や特別な施設等を用いないで、サイレージ貯蔵中におけるネズミの食害を防止できる「広々配置法」を開発した。2)愛媛県の現地において、飼料用稲の小型ロールベール収穫・調製体系の実証試験に積極的に取り組んだ結果、当該地区における本体系の普及面積は19年度の1.35haから3.4haへ拡大した。小型ラップサイレージの発酵品質は乳酸菌添加によりV-scoreで80以上の「良」となり、乳牛の嗜好性も高まることを明らかにした。 飼料用稲の乳牛・肉用牛への給与技術の開発に向けて、1)高品質牛肉生産のための給与技術を開発するため、茎葉型飼料用稲2系統および従来型飼料用稲1品種を原料とする稲発酵粗飼料の嗜好性を一対比較法により評価し、もみ比率の減少は稲発酵粗飼料の嗜好性を低下させることを明らかにした。2)稲発酵粗飼料給与による肉色の劣化抑制等の効果は、稲発酵粗飼料のビタミンE含量が高ければ少ない給与量でも得られ、ビタミンE含量280mg/kgの場合は、肥育後期5カ月間に2kgの日給与(ビタミンE含量が135mg/kgの場合は4kg)で十分なことを、農家飼育牛において確認した。  耕畜連携システムの成立条件の解明に向けて、1)肉用繁殖経営の改善に向けて、水田の畜産利用を推進するための方策を検討し、飼料イネの収穫期を分散可能な作付体系および飼料イネを利用した周年放牧体系の導入が効果的であることを明らかにした。2)耕畜連携システムの中核的担い手として期待される集落営農においては、複数の集落営農による連携への移行により専用機械の効率的稼働面積(15~20ha)の確保が可能となり、単一の集落営農による取組よりも2倍以上高い所得水準(32~39千円/10a)が期待できることを明らかにした。
カテゴリ 病害虫 肥料 稲こうじ病 いもち病 乾田直播 経営管理 栽培技術 雑草 直播栽培 収穫機 飼料用作物 水田 施肥 中山間地域 抵抗性 低コスト 肉牛 乳牛 播種 繁殖性改善 品種 防除

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