d.地域条件を活かした健全な家畜飼養のための放牧技術の開発

課題名 d.地域条件を活かした健全な家畜飼養のための放牧技術の開発
課題番号 2010014842
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 (独)農業・食品産業技術総合研究機構,北農研,集約放牧研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,東北研,日本短角研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,近農研,粗飼料多給型高品質牛肉研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,九州研,周年放牧研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,畜草研,山地畜産研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,畜草研,放牧管理研究チーム
協力分担関係 岡山県総合畜産センター
広島県立総合技術研究所
社団法人広島県畜産協会
山口県農林総合技術センター
大分県農林水産研究センター
徳島県農林水産総合技術センター畜産研究所
(社)農林水産先端技術産業振興センター
北海道大学
福島県農業総合センター
新潟大学
研究期間 2006-2010
年度 2010
摘要  多様な飼料資源を活用した放牧技術を開発するため、1)落葉広葉樹二次林の黒毛和種繁殖牛による夏季放牧利用において課題となっていた放牧牛の急速な体重減少は、林内を孔状に皆伐して小面積の草地を造成することで解決し、40日間体重を維持して放牧利用することを可能とした。2)放牧用草種に関しては、集約放牧用向けのメドウフェスク品種「ハルサカエ」は10年間の永続性を確認し、採草性に優れた他品種を放牧・採草兼用として組み合わせる放牧利用法を提示した。また、ケンタッキーブルーグラスを用い、条件不利地での省力的な放牧管理において育成期乳牛で日増体量0.9kgの高い家畜生産性を示すことを明らかにした。また、草地の簡易更新法として、スラリーインジェクターに牧草種子を混ぜて播種し、種子が発芽することを確認した。 高栄養牧草の利用による集約放牧酪農技術を開発するため、1)放牧牛乳の乳成分制御に関しては、機能性成分である共役リノール酸濃度の季節変動を、牛群レベルおよび個体レベルで明らかにした。2)放牧牛乳で特異的に増加する糖質成分(シアル酸)と葉緑体由来の香気成分(phyt-1-ene)が、放牧の経過に伴って増加し、放牧有無の識別に利用可能であることを実証した。さらに、乳業メーカーとの連携により、放牧牛乳の識別に利用できる葉緑体由来の香気成分は、ホモジナイズや超高温殺菌といった、市販乳製造過程の影響を受けないことを示した。 公共草地資源の活用による日本短角種の放牧技術を開発するため、1)発情同期化法(Flex Synch)の導入によって日本短角牛への胚移植においても黒毛和種と同等の受胎率が得られ、従来のまき牛繁殖方式との併用により、黒毛を含む子牛生産の安定化に有効であることを明らかにした。2)胚移植により日本短角種雌牛から生産される黒毛子牛の発育は、短角母牛の高い泌乳能力によって体重だけでなく体型発育の点からも舎飼いにおける標準発育(日本飼養標準)に匹敵することを明らかにした。 遊休農林地等を活用した黒毛和種経産牛の放牧技術を開発するため、1)小規模移動放牧地への寒地型牧草(ペレニアルライグラスおよびメドウフェスク)導入により高栄養草地へ転換し、これまで繁殖牛のみであった放牧対象牛を育成牛に拡大し、通算日増体量で約0.7kgを達成し草地の家畜生産力を向上させた。2)センチピードグラス導入等による耕作放棄地の草地化技術を開発するとともに、放牧支援システム、水田を活用した周年屋外飼養技術等の関連成果をとりまとめ、様々な草資源を組み合わせた放牧を推進するQ&A方式の小規模移動放牧汎用化マニュアルを作成した。 高栄養暖地型牧草を利用した肉用牛の低コスト周年放牧技術を開発するため、1)肉用牛の低コスト周年放牧技術に関しては、周年放牧肥育における褐毛和種の日増体量は0.8-1.4kg/日、黒毛和種は0.5-0.9kg/日であり、褐毛和種では高栄養暖地型牧草と冬期イタリアンライグラスにトウモロコシサイレージを併給する体系により、配合飼料を給与せずに約24ヵ月齢で体重700kg前後まで肥育できることを示した。周年放牧肥育で生産された牛肉は、黒毛和種、褐毛和種とも高蛋白質、低脂肪、高ビタミン含量及び低カロリーであり、機能性成分を多く含んでいることを明らかにした。2)新たな暖地型草種であるブリザンタMG5の草地造成法として、リノベータ利用は通常耕起法と比べ発芽数および初期生育で差が無く、放牧後は踏み倒しが少なかった。また、7月から11月まで100日以上の放牧が可能であったが、放牧利用する際には低草高にならないように注意する必要があることを明らかにした。 放牧牛の栄養要求量と摂取量の解明に基づく精密栄養管理技術を開発するため、1)黒毛和種去勢育成牛の輪換放牧において、回帰モデルによる牧草採食量の推定式を作成し、草量、放牧密度、体重から採食量を推定する手法を開発した。また、任意の時点での牧草生長速度を早春から当該時点までの草量推移データから推定する方法を考案し、十分な予測精度を確認した。2)放牧草のルーメン内での粗蛋白質分解率は季節により変化するが、低い時期は下部消化管の消化率で補完され、消化管全体における消化率は年間を通し95%以上の高い値を示すことを明らかにした。また、摂取された窒素のうち多くが尿・糞として排出され、蓄積されるのは2割程度であることが判明した。放牧導入が家畜の健全性と経営に及ぼす効果を解明するため、1)育成牛の歩行運動および日光浴試験サンプルを用いた遺伝子発現解析から、末梢血単核球のサイトカイン産生は遺伝子レベルでも日光浴により発現が亢進され、過度な運動では抑制されることを確認した。
カテゴリ イタリアンライグラス 寒地 管理技術 季節変動 機能性成分 経営管理 さやいんげん 水田 低コスト トウモロコシサイレージ 肉牛 乳牛 播種 繁殖性改善 品種 放牧技術

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