課題名 | 受精・妊娠機構の解明と調節による雌牛の繁殖性向上技術の開発 |
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課題番号 | 2013023030 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
平子誠 |
協力分担関係 |
(独)家畜改良センター 宮城県畜試 福島県農総セ畜産研 茨城県畜産セ 埼玉県農総研セ畜産研 千葉県畜総研セ 神奈川県農技セ畜技所 静岡県畜技研 愛知県農総試 熊本県農研セ畜産研 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2013 |
摘要 | 発情微弱化要因の解明と発情発現の明瞭化方策に関しては、a) 乳牛の分娩後初回発情は産歴によらず平均40~50日頃であったが、初産牛は初回排卵前の擬発情行動が経産牛より多かったのに対し、経産牛は初産牛より初回発情を見つけ難い傾向にあった。また、初産牛では卵巣機能回復遅延が多く、経産牛では発情兆候の微弱化と発情間隔の乱れによる発情見逃しが多かった。一方、泌乳ストレスのない肉用繁殖牛では、鈍性発情と乗駕許容を示す発情における卵巣機能(退行黄体、発育黄体、発情卵胞、一次主席卵胞並びに血中性ステロイド濃度の推移)に差がないことを明らかにした。b) 黒毛和種繁殖雌牛への分娩後2回次排卵期の発情誘起処置により、22頭中19頭に明瞭な発情徴候が認められ、排卵誘発剤の投与により全頭が排卵した。処置後の人工授精で7頭が受胎したが、受胎牛と不受胎牛で繁殖機能回復及び処置 の状況に差は認められなかった。発情周期は暑熱期に延長する傾向にあり、繁殖雌牛の発情発見指標として歩行数と比較して腟温が有効であることを明らかにした。 妊娠維持機構の解明と妊娠のモニタリング指標の策定に関しては、長期低受胎牛ではミトコンドリア及びリボソームに関わる機能の異常が、短期低受胎牛では細胞接着に関わる機能の異常が不受胎の一因であることを見出した。また、妊娠判定にインターフェロン反応性遺伝子であるISG15の遺伝子発現量を用いることで、的中率90%の不妊判定ができた。 黄体機能の賦活による受胎率向上技術に関しては、体外受精胚由来ウシ栄養膜小胞の凍結保存後、24時間の修復培養により凍結融解後の栄養膜小胞の生存性が向上すること、栄養膜小胞の凍結操作に関わらずインターフェロンτ遺伝子発現レベルが維持されることを確認した。 抗酸化機能性物質等を活用した繁殖性改善技術に関しては、a) ラクトフェリンの泌乳牛への給与は、ルーメンエンドトキシン活性値並び に血漿中の炎症性サイトカインレベルを低下させることを明らかにした。また、高泌乳期のエネルギーバランス改善を目的とする長鎖脂肪酸カルシウム(LCFA-Ca)とルーメンバイパスメチオニンとの併給は、乾物摂取量を低下させることなく繁殖機能の発現にも寄与するグレ リン分泌を大幅に促進することを明らかにした。b) 子宮上皮細胞、胎盤由来上皮細胞はコルチゾールに反応してアラキドン酸を遊離する が、それだけでは線維芽細胞の剥離を誘導しないこと、ロイコトリエン受容体はオキソアラキドン酸による細胞剥離に関与しないことを明らかにした。 このほか、a) 以前取得した特許4408017「牛の過排卵誘起剤」から派生した「牛の過排卵誘起用皮下注射剤」について、特許出願(特願2013-151440)を行った。また、これらの特許の共同出願機関(企業)が、同薬剤について、農林水産省に動物用医薬品としての薬事申請を 行った。 |
カテゴリ | 育種 過排卵 機能性 飼育技術 受胎率向上 乳牛 繁殖性改善 モニタリング 薬剤 |