課題名 | 3.開発途上地域の農林漁業者の所得・生計向上と農山漁村活性化のための技術の開発 |
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課題番号 | 2015027921 |
研究機関名 |
国際農林水産業研究センター |
協力分担関係 |
(国立研究開発法人)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農研センター (国立研究開発法人)農業・食品産業 技術総合研究機構 畜山草地研究所 (国立研究開発法人)森林総合研究所 (国立研究開発法人)水産総合研究センター 筑波大学 広島大学 東京大学 宇都宮大学 長崎大学 東京海洋大学 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2015 |
摘要 | プログラムの最終年度にあたり、「農村活性化」というミッションに対して、技術の体系化や評価等を進め、活用しうる 成果としての取りまとめを行った。さらに、成果の利用者を明確にし、それぞれに対して適切な形態や方法での成果の受け渡しに努めた。 持続可能な農林漁業・農産漁村開発を支援するため、ラオスを対象とした後発開発途上国及び中国・タイ・マレーシア・フィリピン等に おいて、基盤的生産技術の開発を進め、カウンターパート機関等と共に現地での普及に取り組んだ。 ラオス中山間地域を対象としたプロジェクトでは、共通研究サイトとして選定したNameuang村における土地利用や農家経営の実態に基づき、低地水田の高度利用方式の確立及び丘陵山地での適正で持続的な土地利用方式の確立のための技術開発を行った。これらの技術を体系化して、自立的複合経営を目指した取組を行った。具体的には、水稲収量を増加させるために、初期潅漑による移植時期の早期化や水田養魚の効果を明らかにし、技術間の共益性を示して体系化を図った。また、丘陵山地での地力に応じた作物配置と陸稲品種の選定基準等を明らかにし、非木材林産物の利用も組合せた土地利用方式の提示行った。さらに、複合経営化に向けた新たな技術として、果樹の適性評価、地域資源を利用した家畜飼料の調製等を行った。 ラオスにおける成果の活用に関しては、カウンターパート機関と共に共通研究サイトに設けた展示圃場を活用して、水稲の移植時期や水田養魚に関する成果等を紹介すると共に、果樹の剪定技術の講習など普及に努めた。また、農民集会を開催し、平易な説明で技術を紹介すると共に、JIRCASの取組に関する関心度や技術導入の要望等について意見を聴取し取りまとめた。研究成果を広く研究・行政担 当官に紹介するワークショップをラオス農林副大臣臨席の下で開催した。その際、JIRCASの技術開発と研究協力に対してラオス農林省から理事長に感謝状が贈られるなど、国家レベルでの高い評価を得た。 中国においては、集約的穀作地域における循環型生産技術として、コムギの部分耕起栽培による増収と節水潅漑の可能性が示された。また、循環型農業生産システムのための支援制度として、農家の作物残渣利用の意識調査を行い、残渣利用を低くしている要因をあきらかにした。地域資源を活用したミニカボチャの栽培システムは、中国において「実用新案」として権利化され、農家へのマニュアル作成も行うなど、実用化へ向けた取組が進展した。中国農業科学院からは、本プロジェクトの取組に対して感謝状が贈られ、高く評価されている。 森林を持続的に管理・保全するための技術として、マレーシアにおいては、択伐林と天然林での種子生産を比較し、受粉と未熟種子の 中絶の関係から健全種子生産について解明を進めた。東北タイにおいては、チークの植栽土壌適地図を既に2つの県で作成し、作成技 法を技術移転したが、タイ側との継続した取組によって東北タイ全域の40%をカバーするに至るなど、チーク林業普及に大きく貢献した成果となっている。 熱帯沿岸域の環境に配慮した増養殖技術開発として、フィリピンにおいてミルクフィッシュ、ナマコ、海藻類を用いた複合混合養殖技術の実用性の実証、マレーシアにおけるハイガイ生産量減少要因の検討を行い、養殖業者等の問題解決や行政担当者への情報提供等、現場で活用される成果の取りまとめを行った。 農林漁業者の所得向上に貢献する技術開発として、農林水産物の有効利用のための新たな加工・流通・保全技術をタイ・中国・マレーシア等で開発し、データベースの公開や実用レベルでの展開に取組んだ。 地域食料資源の高度利用のため、タイの大豆発酵食品トゥアナオの高機能性発酵スターターの開発・普及や、インドシナにおける発酵米麺に弾力が生じる機構を解明するなど、既に構築している食品資源研究ネットワークを活用して技術開発、普及の取組を進めた。 非食料資源からバイオ燃料及びバイオマテリアル生産技術を開発・実用化するため、オイルパーム廃棄木の中から貯蔵により糖度が上 昇するものの簡易選抜法の開発、搾汁液からエタノールを生産する際のエネルギー収支の評価等、バイオマス利用の基盤となる技術開発や情報提供を行った。さらに、引き続き企業と連携することにより、マレーシアにおけるオイルパーム未利用バイオマスからのエネルギー生産のパイロットプラント建設と運転の基礎的条件検討について実用規模での成果が得られた。 以上のように、成果の利用者を明確にした上で、技術の取りまとめや体系化を進め、ワークショップ、説明会、マニュアル化、企業との連携などを通してアウトカムにつなげる活動を行った。これらの成果は、農民、カウンターパート機関、相手国政府等から高い評価を得た。 |
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