タイトル |
地下水中硝酸性窒素削減のための普通畑およびたまねぎ畑における対策 |
担当機関 |
十勝農試 |
研究期間 |
2002~2004 |
研究担当者 |
唐星児
笛木伸彦
鈴木慶次郎
松本武彦
古館明洋
志賀弘行
日笠裕治
中津智史
中村隆一
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発行年度 |
2004 |
要約 |
深層土壌の土壌溶液中硝酸性窒素濃度によって、圃場からの硝酸性窒素流出のモニタリングが可能である。硝酸性窒素削減対策として、てんさい茎葉すき込み後のばれいしょ作では土壌硝酸性窒素量に応じた減肥、たまねぎ畑では作付体系への後作緑肥および秋まき小麦の導入が有効である。
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キーワード |
地下水、硝酸性窒素、モニタリング手法、作付体系改善
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成果の活用面・留意点 |
- 普通畑およびたまねぎ畑の深さ3m付近における土壌溶液中硝酸性窒素濃度は、深さ方向の濃度変化及び採取時期による濃度変動が小さく、近傍の井戸水中硝酸性窒素濃度とほぼ等しい値をとることから、圃場におけるモニタリング指標として利用可能である(図1、図2)。
- てんさい茎葉由来窒素の次作による回収率は、小豆では8~12%と低いが、ばれいしょでは11~22%と比較的高い。深さ80cmの土壌溶液中硝酸性窒素濃度は、てんさい作付中は低く推移するが、次作が窒素回収能力の低い小豆の場合、大幅に上昇する場合がある(図3)。その場合でもてんさいの窒素吸収量を約25kg/10aとすれば、糖量を確保しつつ硝酸性窒素濃度を10mg/L以下にできる。
- てんさいを前作とするばれいしょ(メークイン)では、規格内収量を最大とする生育最大期の窒素吸収量(13~14kg/10a)を得るためには、春季の土壌硝酸性窒素量(0~60cm土層)と施肥窒素量の合計を11kg/10a(乾性火山性土・沖積土)または13~14kg/10a(湿性火山性土)とすれば良い。
- 早生たまねぎの収穫後、8月中にえん麦を播種することにより、主に深さ40cmまでの土層に残存する無機態窒素を低減することができる。
- たまねぎ畑への秋まき小麦導入によって、窒素収支が改善され、浸透水の硝酸性窒素濃度も低下する。深層土壌の硝酸性窒素濃度が55~60mg/Lを示すたまねぎ連作圃場に秋まき小麦の交互作を導入した例では硝酸性窒素濃度がほぼ半減した。
- たまねぎ畑における浸透水中硝酸性窒素の削減対策、a)総窒素投入量の適正化、b)後作えん麦の導入、c)秋まき小麦の導入、の3項目について整理した(表1)。
- 深層土壌採取法が適用可能な土壌は、主として火山性土および下層が強粘質・礫質でない台地土と考えられる。
- 土壌硝酸性窒素によるばれいしょの施肥診断は、十勝地域のメークインで前作をてんさいとして検討した。
平成16年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分 「普通畑およびたまねぎ畑における地下水中硝酸性窒素の削減対策」(普及推進)
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図表1 |
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カテゴリ |
小麦
施肥
たまねぎ
てんさい
播種
ばれいしょ
モニタリング
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