水稲「ヒノヒカリ」のトビイロウンカ抵抗性同質遺伝子系統新品種「関東BPH1号」

タイトル 水稲「ヒノヒカリ」のトビイロウンカ抵抗性同質遺伝子系統新品種「関東BPH1号」
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
研究期間 1994~2006
研究担当者 平林秀介
安東郁男
石井卓朗
佐藤宏之
竹内善信
前田英郎
井辺時雄
加藤 浩
太田久稔
出田 収
根本 博
平山正賢
小川紹文
八木忠之
岡本正弘
西村 実
梶 亮太
深浦壮一
溝渕律子
発行年度 2006
要約 水稲品種「関東BPH1号」は、インド型系統IR54742(GSK178-2)が持つO.officinalis由来のトビイロウンカ抵抗性遺伝子bph11を、戻し交配とDNAマーカー選抜により「ヒノヒカリ」に導入したトビイロウンカ抵抗性同質遺伝子系統である。
キーワード イネ、ヒノヒカリ、同質遺伝子系統、トビイロウンカ抵抗性、DNAマーカー
背景・ねらい 暖地・温暖地は、中国から飛来するトビイロウンカによる被害が大きい地域であり、低投入・低コスト生産のためには、トビイロウンカ抵抗性品種の導入が有効である。特に2005年および2006年は飛来数が多く、甚大な被害がもたらされたことにより、トビイロウンカ抵抗性品種育成・普及への要望が急速に高まっている。そのため、飛来するバイオタイプの変化に対応した新規の抵抗性遺伝子の探索を行い、数種の野生稲由来のトビイロウンカ抵抗性を見出すとともに、暖地の基幹品種「ヒノヒカリ」に戻し交配とDNAマーカー選抜で抵抗性遺伝子を導入し、同質遺伝子系統を育成している。本品種は抵抗性遺伝子bph11を持ち、日本で初めてのトビイロウンカ抵抗性実用品種である。
成果の内容・特徴
  1. 「関東BPH1号」は、O.officinalis由来トビイロウンカ抵抗性遺伝子bph11を保有するインド型系統「IR54742(GSK178-2)」を一回親とし「ヒノヒカリ」を反復親として4回戻し交配し、DNAマーカー選抜により育成された同質遺伝子系統である。
  2. 「IR54742(GSK178-2)」由来のbph11約8cM(約661kbp)の導入染色体断片を有し、それ以外の染色体領域は「ヒノヒカリ」に置換されている(図1)。
  3. トビイロウンカには、“やや強”程度の抵抗性を示し、最近飛来しているバイオタイプのトビイロウンカの密度を「ヒノヒカリ」と比較して顕著に抑制する(図2)。
  4. 出穂期および成熟期は、育成地では「ヒノヒカリ」並の“晩生の晩”である。
  5. 育成地での稈長は、「ヒノヒカリ」並の“やや長”、穂長は「ヒノヒカリ」並、穂数は「ヒノヒカリ」並で、草型は“偏穂重型”である。
  6. いもち病真性抵抗性遺伝子型は“Pii, Pia”、葉いもちおよび穂いもち圃場抵抗性は“やや弱”、白葉枯病抵抗性は“やや弱”で、耐倒伏性は“やや弱”、穂発芽性は“難”であり、いずれも「ヒノヒカリ」と同等である。
  7. 収量性は、育成地では「ヒノヒカリ」並である。
  8. 玄米の外観品質は、「ヒノヒカリ」並の“中上”である。
  9. 千粒重は、育成地では「ヒノヒカリ」並である。
  10. 炊飯米の食味は、育成地では「ヒノヒカリ」並である。
成果の活用面・留意点
  1. 「関東BPH1号」は、最近我が国に飛来するバイオタイプのトビイロウンカの被害低減に活用できる。
  2. 適地は温暖地西部の平坦地・暖地の山麓・平坦地である。
  3. 害虫防除以外の栽培管理は、「ヒノヒカリ」の栽培基準に準じて行うこと。
図表1 226630-1.gif
図表2 226630-2.gif
図表3 226630-3.gif
カテゴリ 病害虫 いもち病 害虫 栽培技術 新品種 水稲 DNAマーカー 抵抗性 抵抗性遺伝子 抵抗性品種 低コスト 品種 防除 良食味

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