主要アレルゲンの一部を欠失した豆乳用だいず新品種「なごみまる」

タイトル 主要アレルゲンの一部を欠失した豆乳用だいず新品種「なごみまる」
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
研究期間 1993~2006
研究担当者 羽鹿牧太
菊池彰夫
境哲文
高橋浩司
高田吉丈
山田哲也
小巻克巳
足立大山
中村茂樹
田渕公清
島田尚典
島田信二
湯本節三
平賀勧
発行年度 2006
要約  だいず「なごみまる」は、「タチナガハ」並の収量性・耐倒伏性を備えた品種である。大豆の主要アレルゲンタンパク質の一つであるβ-コングリシニンのうち、αおよびα’サブユニットを欠失している。豆乳等の大豆食品のアレルギーリスク軽減のための原料として利用できる。
キーワード ダイズ、β-コングリシニン、αサブユニット、アレルゲン、耐倒伏性、豆乳
背景・ねらい  健康志向の高まりとともに固形分濃度が高い豆乳や大豆を全粒で用いた豆乳様飲料の消費が伸びている。これに伴いこれらの食品に対するアレルギー発症の増加が問題となっている。このため実需者からは大豆の主要なアレルゲンタンパク質を欠失した品種の供給が求められている。そこで、栽培しやすく農業特性を改良したアレルギーリスクの低い品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 「なごみまる(旧系統名:関東103号)」は「タチナガハ」を母とし、β-コングリシニンのαおよびα'サブユニットを欠失する「α欠(I)(現在の「ゆめみのり」)」を父として人工交配した系統に「タチナガハ」を2回戻し交雑して得られた刈交0542BC2にタチナガハを戻し交雑し、得られた後代から選抜した系統である。
  2. 大豆の主要アレルゲンの一つのβ-コングリシニンのうち、αおよびα’サブユニットを欠失する(図1)。
  3. 耐倒伏性は「タチナガハ」並に優れる(表1)。
  4. 「タチナガハ」並みの収量で、既存の「ゆめみのり」に比べ多収である(図2)。
  5. 豆乳類への加工適性は優れる(図3)。
  6. 成熟期は「タチナガハ」よりやや早生である(表1)。
  7. 百粒重は「タチナガハ」よりやや少ない(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 豆乳類の加工原料として、東北中南部~関東北部での栽培に適する。当面、栃木県で50haの普及が見込まれる。
  2. 本品種はアレルゲンタンパク質を全て欠失しているわけではないので、アレルギーフリーではない。
  3. 豆乳を除く豆腐等通常の食品加工適性は劣る。
  4. モザイク病やシストセンチュウに抵抗性を持たないため、多発地域では栽培を避ける。
  5. 低アレルゲン性を損なわないため普通品種との混植を避けるとともに、収穫・調整時には異品種が混入しないように留意する。
図表1 226632-1.jpg
図表2 226632-2.gif
図表3 226632-3.gif
カテゴリ 加工 加工適性 新品種 大豆 抵抗性 品種

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