タイトル |
ミルキークイーンの出穂性を改変した水稲新品種「ミルキーサマー」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所 |
研究期間 |
2002~2011 |
研究担当者 |
竹内善信
春原嘉弘
根本 博
加藤 浩
平林秀介
佐藤宏之
前田英郎
常松浩史
田中淳一
小林伸哉
津田直人
竹本陽子
池ヶ谷智仁
安東郁男
太田久稔
石井卓朗
井辺時雄
出田 収
平山正賢
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発行年度 |
2011 |
要約 |
低アミロース米品種「ミルキーサマー」は「Kasalath」の出穂遺伝子Hd1を有する「ミルキークイーン」の準同質遺伝子品種である。出穂性は「ミルキークイーン」と比較して関東で早生に、亜熱帯環境で晩生になる。
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キーワード |
イネ、出穂、低アミロース、同質遺伝子系統、良食味、ミルキーサマー
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背景・ねらい |
低アミロース米水稲品種「ミルキークイーン」は、炊飯米の粘りが強く冷めても硬くならず良食味であることが市場で高く評価されている。「ミルキークイーン」型で熟期の異なる品種はほとんど無い。「ミルキークイーン」型品種の産地を拡大するため、「コシヒカリ」の出穂性同質遺伝子系統群を母本に用いて早生~晩生熟期品種の開発を図った。
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成果の内容・特徴 |
- 「ミルキーサマー」はインド型品種「Kasalath」由来のHd1遺伝子を持つ「コシヒカリ」早生同質遺伝子系統「和系243」と「コシヒカリ」の突然変異品種「ミルキークイーン」の交配後代からDNAマーカー選抜で育成された「ミルキークイーン」の出穂性に関する準同質遺伝子品種である(図1)。
- 出穂期は、育成地(つくばみらい市)では「ミルキークイーン」より13日、「あきたこまち」より3日早生の“極早生”熟期に属する。沖縄県(名護)では同3日晩生である(表1)。
- 稈長は、育成地では「ミルキークイーン」より約10cm短く「あきたこまち」並である。穂数は「ミルキークイーン」並かやや多く、草型は“偏穂数型”である。沖縄では、稈長は「ミルキークイーン」と同じかわずかに長く、穂数は同等かやや少ない(表1)。
- 育成地での玄米重は「ミルキークイーン」よりわずかに少なく「あきたこまち」よりやや多収である。沖縄では同10%多収である(表1)。
- 耐倒伏性は、育成地では「ミルキークイーン」よりやや優る“やや弱”である(表1)。
- いもち病真性抵抗性遺伝子型は+型と推定される。圃場抵抗性は、葉いもちが“弱”、穂いもちが“弱”である。白葉枯病抵抗性は“中”である(表1)。
- 耐冷性は「コシヒカリ」よりやや劣る“やや強”である(表1)。
- 玄米の外観品質は「ミルキークイーン」並の“中の中”である(表1)。
- 「ミルキークイーン」と同じ低アミロース遺伝子Wx-mqを有し、アミロース含有率は、「ミルキークイーン」と同等かわずかに低い(表1)。
- 炊飯米の食味は、粘りがあり「ミルキークイーン」と同等かやや劣るが「あきたこまち」に優る(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象;沖縄県、千葉県生産者等
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等;沖縄県で平成23年度から奨励品種に採用した。沖縄県の二期作栽培地帯50ha、暖地・温暖地の早期栽培地域(千葉県で平成24年度数ha)。
- その他;「ミルキークイーン」と比較して、温暖地では早期出荷が可能であり、沖縄ではやや晩生で多収の低アミロース米品種として活用が期待される。いもち病抵抗性、耐倒伏性が不十分なので、適正な防除を行い、極端な多肥を避ける。また、耐冷性が不十分なので、冷害の危険のある地帯での栽培には留意する。なお、本品種は2009年に種苗法に基づく品種登録に出願され、2011年3月に登録されている(登録番号20745)。
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図表1 |
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図表2 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nics/2011/112a0_01_03.html
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カテゴリ |
病害虫
亜熱帯
いもち病
出荷調整
新品種
水稲
DNAマーカー
抵抗性
抵抗性遺伝子
凍害
品種
防除
良食味
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