水稲登熟期の高温ストレスにより玄米において蓄積が増加するフェノール性化合物

タイトル 水稲登熟期の高温ストレスにより玄米において蓄積が増加するフェノール性化合物
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
研究期間 2013~2013
研究担当者 中野洋
小野裕嗣
岩澤紀生
髙井俊之
荒井裕見子
近藤始彦
発行年度 2013
要約 3',6-di-O-sinapoylsucrose、3'-O-sinapoyl-6-O-feruloylsucrose、24-methylenecycloartanyl ferulate、およびγ-oryzanolは、水稲登熟期の高温ストレスにより玄米において蓄積が増加するフェノール性化合物である。
キーワード イネ、玄米、高温、フェノール性化合物
背景・ねらい 水稲における登熟期の高温は、玄米の重量の低下や白濁の発生を引き起こすと共に、糠層を厚くすることが知られている。しかし、この高温により厚くなった糠層において蓄積が増加する化合物は、これまでに単離・同定されていない。本研究では、水稲の登熟期における高温ストレスバイオマーカーになる化合物を見出すために、高温登熟した玄米において蓄積が増加する化合物を単離・同定し、高温登熟(32/26°C (14/10 h、day/night))した玄米および常温登熟(26/20°C (14/10 h、day/night))した玄米におけるその含有率を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 高温登熟した玄米の高極性成分を見ると、常温登熟した玄米に比べ、3品種の平均で3',6-di-O-feruloylsucrose (4)の含有率が僅かに減少するが、3',6-di-O-sinapoylsucrose (2)および3'-O-sinapoyl-6-O-feruloylsucrose (3)の含有率がそれぞれ3.2倍および1.2倍に増加する(図1および2)。また、6-O-feruloylsucrose (1)の含有率は両者でほとんど差がない。
  2. 化合物1−4はphenylpropanoid sucrose esterであり、玄米におけるその含有率は、登熟期の高温により、sinapoyl骨格の増加あるいはferuloyl骨格の減少に伴って増加する(図1および2)。
  3. 高温登熟した玄米の低極性成分を見ると、常温登熟した玄米に比べ、3品種の平均でcycloartenyl ferulate (5)の含有率が0.5倍に低下するが、24-methylenecycloartanyl ferulate (6)およびγ-oryzanolの含有率がそれぞれ1.6倍および1.2倍に増加する(図1および2)。
  4. 化合物5および6はγ-oryzanolの主成分であり、玄米におけるその含有率は、登熟期の高温により増加するが、その組成は大きく変化する(図1および2)。
  5. 以上より、化合物2、3、5、および6およびγ-oryzanolは、「ふさおとめ」、「コシヒカリ」、および「初星」の登熟期における高温ストレスバイオマーカーの候補物質になる。
成果の活用面・留意点
  1. 化合物2、3、5、および6およびγ-oryzanolは、水稲の登熟期における高温ストレスバイオマーカーとして活用が見込まれる。
  2. 化合物1−6の含有率と玄米品質との関係は別途明らかにする必要がある。
  3. 高温耐性が強い「ふさおとめ」、中程度の「コシヒカリ」、弱い「初星」を用いて行った結果である。
図表1 236457-1.jpg
図表2 236457-2.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nics/2013/nics13_s03.html
カテゴリ 高温耐性 コスト 水稲 品種

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