乳酸菌のキシラン及びムチンへの付着

タイトル 乳酸菌のキシラン及びムチンへの付着
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2011~2014
研究担当者 齋藤勝一
中村敏英
小林功
亀山眞由美
一ノ瀬仁美
木村啓太郎
舟根和美
発行年度 2014
要約 乳酸菌Lactobacillus brevisの特定の株は、植物細胞壁成分であるキシランあるいは胃腸管粘膜成分であるムチンの添加により凝集する。本作用は、細胞表層の静電的な作用に起因し、この静電作用によりキシランとムチンに付着するものと考えられる。
キーワード 乳酸菌、キシラン、ムチン、凝集、付着
背景・ねらい 乳酸菌の付着特性は、食品原料中での乳酸菌の発生や発酵の制御技術の開発に重要な因子であると共に、食品として摂取した際には消化管粘膜を介した生体内での保健機能発現に重要な役割を果たす。しかし、乳酸菌の付着機構の詳細については十分明らかになっていない。そこで、まず植物細胞壁の主成分であるキシランとの作用に着目し乳酸菌の付着能の解析を行い、付着機構を明らかにする。続いて動物細胞である胃腸管粘膜から分泌され、細胞表面を覆う糖タンパク質ムチンに対する付着能について解析し、キシランへの付着との関連を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 乳酸菌Lactobacillus brevisの特定の株は、キシランの添加により凝集し、凝集塊を形成する。凝集作用の強弱は菌株によって異なり、凝集作用が見られない菌株も存在する(図1)。
  2. 凝集作用を有する菌株では、細胞表層タンパク質を除去した状態でもキシランによる凝集作用が認められる。その一方で、凝集作用は高塩濃度条件で低下し、細胞表層電位(ゼータ電位)の影響を受ける。これらのことから、本菌は細胞表層の電荷に起因する静電的な作用によりキシランに付着して凝集すると考えられる(図2)。
  3. 本菌に胃腸管粘膜成分であるムチンを添加した場合にも、キシランを添加した場合と同様の経時的な凝集プロファイルが見られる。菌株により凝集度が異なることも同様である(図3)。このことから、本菌は、植物細胞の主要3成分であるキシランに対しても、動物の粘膜細胞に存在するムチンに対しても、静電的な作用により同様に付着するものと考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 食品に発生する乳酸菌の起源の特定や乳酸菌による発酵のメカニズム、生体での腸管刺激や腸内定着性などの乳酸菌の保健機能の解明のための基礎知見として活用できる。
  2. 凝集作用が確認できなかった菌株も細胞表層タンパク質や細胞表層電位を有していることから、付着能には静電作用以外の要因も複合的に関与している可能性がある。
図表1 237203-1.jpg
図表2 237203-2.jpg
図表3 237203-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nfri/2014/nfri14_s18.html
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