アミロース含有率を低下させるイネ第2染色体上のQTL

タイトル アミロース含有率を低下させるイネ第2染色体上のQTL
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
研究期間 2004~2015
研究担当者 竹内善信
久野陽子
三枝大樹
鈴木啓太郎
平林秀介
出田収
青木法明
梅本貴之
石井卓朗
安東郁男
加藤浩
根本博
井邊時雄
発行年度 2015
要約 稲良食味系統「空育162号」の有するアミロース含有率を1ポイント程度低下させるQTL(qAC2)は、第2染色体上の74.9kbの領域内にある。qAC2はデンプン粒結合型デンプン合成酵素遺伝子Wxの対立遺伝子の違いによって低減効果が異なる。
キーワード イネ、アミロース含有率、QTL、食味
背景・ねらい 稲品種の一層の食味向上は、国産米の競争力強化のため重要な育種目標の一つである。良食味化の一つの方向性として低アミロース米品種の育成が進められている。しかし、アミロース含有率が低すぎると、米が白濁する、炊飯米が粘りすぎる、炊飯米に糯臭がするなどの特徴を示す。そのため、「コシヒカリ」などの食味をさらに改良した品種を育成するためには、アミロース含有率を1~3ポイント精緻に下げる意義が大きいと考える。そのための素材として北海道立総合研究機構が育成したアミロース含有率がやや低い良食味系統「空育162号」に注目し、関連する遺伝子の解析と育種的利用を図る。
成果の内容・特徴
  1. 「いただき」の遺伝的背景で「空育162号」の対立遺伝子がアミロース含有率を1ポイント程度低下させる遺伝子座qAC2は、第2染色体上のDNAマーカーKID3001とKID5101の間の74.9kbの領域内に存在する(図1A)。
  2. デンプン粒結合型デンプン合成酵素遺伝子の対立遺伝子Wxbを有する「いただき」を遺伝的背景にした準同質遺伝子系統(NIL110)は、「いただき」よりもアミロース含有率が1ポイント程度低下し、アミロース含有率の低減効果がある(図1B)。この系統の炊飯米の表層の粘りは少し強くなる(図1C)。
  3. 「空育162号」の遺伝子qAC2KuikuWxaの遺伝的背景でアミロース低減効果を示さず(図2)、さらにqAC2KuikuWxbの遺伝的背景で、低アミロース遺伝子du1あるいはdu2と集積すると低減効果がなく、du3と集積する低減効果がある(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. このQTL情報は、「空育162号」を供与親とした育種材料からアミロース含有率がやや低い系統をDNAマーカー選抜するために利用できる。
  2. 本研究は、「いただき」に対して「空育162号」の遺伝子qAC2Kuikuを導入した系統を作物研究所圃場で栽培して得られた結果であり、検出されたアミロース低減効果は地域および導入系統毎に確認する必要がある。
図表1 237640-1.gif
図表2 237640-2.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nics/2015/nics15_s02.html
カテゴリ 育種 DNAマーカー 品種 良食味

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