タイトル |
製パン適性の優れる寒冷地向け小麦新品種「夏黄金」 |
担当機関 |
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 |
2000~2016 |
研究担当者 |
谷口義則
伊藤裕之
平将人
中村和弘
吉川亮
前島秀和
池永幸子
中村俊樹
石川吾郎
池田達哉
伊藤美環子
齋藤美香
氷見英子
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発行年度 |
2016 |
要約 |
「夏黄金」は生地の伸張抵抗が強く、製パン適性に優れる硬質小麦である。播性がVのやや早生種、耐雪性は中程度で寒冷地での栽培に適する。「ゆきちから」と比較して収量性は同程度で穂発芽耐性および赤かび病抵抗性は優る。
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キーワード |
小麦、製パン適性、伸張抵抗、穂発芽性
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背景・ねらい |
東北地域での小麦栽培面積の26.9%(2015年度)を占める硬質小麦「ゆきちから」はパン生地の特性が輸入小麦に比べて劣るため、その主な利用が輸入小麦とのブレンド、あるいは菓子パン原料にとどまり、需要が頭打ちになってきている。また、穂発芽耐性が不十分で赤かび病にやや弱い短所がある。そこで製パン適性に優れ、穂発芽耐性、赤かび病抵抗性を改善した硬質小麦品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 小麦「夏黄金」は2001年5月に行ったF1雑種「関東123号/東北214号//関東123号/東北209号」を母とし、「もち盛系C-3170a」を父とする人工交配の後代から育成された品種である。
- 出穂期と成熟期は「ゆきちから」とほぼ同程度のやや早生種で、稈長は「ゆきちから」よりやや短い(表1)。ふ色は赤褐色で穂型が紡錘状の無芒種である。
- 「ゆきちから」と比較して、収量は同程度で容積重がやや大きく千粒重がやや小さい。外観品質はほぼ同程度である(表1)。
- 播性がV、耐雪性が中程度で、穂発芽性は難である。縞萎縮病抵抗性は強、赤かび病、うどんこ病、赤さび病抵抗性は中程度である(表2)。
- 「ゆきちから」と比較して原粒の灰分含量はやや多いが、製粉歩留、粉の灰分含量、原粒および粉のたんぱく質含量、粉の色相は同程度である(表3)。
- エキステンソグラムの生地の力の程度と伸張抵抗が「ゆきちから」より大きく、「銀河のちから」より小さく、カナダ産輸入小麦(1CW)と同程度であり、伸長度は「ゆきちから」と同程度で「銀河のちから」より長い(表4)。
- 「ゆきちから」と比較してパンの加水量がやや少なく、こね時間が長く、比容積が大きく、官能評価点が高い(表4)。
- 中華めん適性は1日後色相が「ゆきちから」と同程度で、食感が優れる(表4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:小麦生産者
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:
栽培適地は寒冷地(東北・北陸地域)の平坦地2016年宮城県で奨励品種に採用・普及予定面積400ha - その他:
成果の内容・特徴は東北農業研究センター(岩手県盛岡市)における成績で、出穂期、成熟期の早晩および耐雪性の区分は寒冷地北部(東北地域)における基準に基づく。根雪期間が100日を超える地域では殺菌剤や融雪剤を散布する等の雪害軽減策が必要である。
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/tarc/2016/16_020.html
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カテゴリ |
萎縮病
うどんこ病
くこ
硬質小麦品種
小麦
新品種
抵抗性
品種
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