皮膚機能を改善するLactobacillus curvatus FBA2の完全長ゲノム配列

タイトル 皮膚機能を改善するLactobacillus curvatus FBA2の完全長ゲノム配列
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産研究部門
研究期間 2015~2016
研究担当者 鈴木チセ
木元広実
小林美穂
水町功子
青木玲二
小川智子
守谷直子
萩達朗
野村将
中野和真
城間安紀乃
保日奈子
大木駿
下地真紀子
安次嶺典子
新里美寿々
南茉緯子
中西哲大
照屋邦子
佐藤万仁
宮田智
山本佳津江
大竹康之
平野隆
発行年度 2016
要約 第3世代シーケンサーを用いて解析した乳酸菌Lactobacillus curvatus FBA2のゲノムはプラスミドをもたない1.85 Mbpの環状染色体である。これはL. curvatusの完全長ゲノム配列としては最初の報告である。
キーワード 乳酸菌、Lactobacillus curvatus、完全長ゲノム配列、PacBio RS II
背景・ねらい 沖縄の漬物から分離されたLactobacillus curvatus FBA2 (以下FBA2)は、in vitroスクリーニングおよび皮膚機能低下モデルマウスにおいて皮膚機能改善作用を有する菌株で、共同研究により特許を取得、実用化に至っている。乳酸菌の菌株特異的な特性は様々な挿入配列やプラスミドなど菌株特有のゲノム構造に由来するが、これまでL. curvatusの完全長ゲノム配列は得られていない。そこで本研究では、非常に長いリード(鋳型DNAの1分子から読まれる塩基配列情報)が得られる第3世代シーケンサーPacBio RS IIを用いてFBA2の完全長ゲノム配列を構築し、L. curvatusの他菌株との比較解析によりFBA2のゲノム構造の特徴を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 断片化の少ない高純度のゲノムDNAを得るため、断片化を生じるカラム精製は避け、対数増殖期のFBA2菌体を用いてリゾチーム消化後、エタノール沈殿、フェノール抽出などで精製した後、蛍光試薬により無傷の二本鎖DNA量を定量し、高分子DNAが解析可能なパルスフィールド電気泳動にて長鎖DNAおよびプラスミドを確認した後シーケンス反応に使用する。
  2. シークエンス解析の結果得られた842,920リード(平均リード長4,419 bp)から構築されたFBA2の完全長ゲノムは1,848,756 bp(GC含量 42.1 %)の環状染色体である。
  3. シーケンスデータ解析においても、またパルスフィールド電気泳動においてもプラスミドのバンドが検出されないことから、FBA2はプラスミドを保有しない。
  4. FBA2は、短いリードによる次世代シーケンサーでは解析が困難な1 kb以上の同一配列を43ペア、22個の挿入配列、低GC領域などを含み、これらの配列はL. curvatusの基準株JCM 1096Tでは検出されていない(図1)。
  5. FBA2の解析後、現在までにL. curvatus WiKim38、L. curvatus WiKim52の完全長ゲノム配列の報告があり、FBA2ゲノムのカバー率はそれぞれ93 %、92 %で、いずれも相同性のある領域では99 %の同一性を示す。ゲノム解析が報告された7株の比較を図2に示す。
成果の活用面・留意点
  1. 決定したゲノム配列はDDBJ/ENA/GenBankのデータベースに登録及び公開済である(アクセッション番号CP016028)。
  2. 公開済の配列データは、世界中で同種や近縁種の菌株のリファレンス配列として活用できる。
  3. L. curvatus FBA2は農研機構とアサヒグループホールディングスが特許(特許5791009号)を保有する菌株であるため、菌株の使用は発明者の承諾が必要である。
  4. 既知の同種菌株のゲノムとの比較によりFBA2に特異的な遺伝子配列が明らかになり、知財戦略上重要な菌株特異的マーカーを作出できる。菌株特異的マーカーは、摂取したときの腸管におけるその菌株の動態の追跡が可能になり、健康機能性のメカニズム解明に活用できる。
  5. PacBio RS IIを用いたゲノム解析は沖縄綜合科学研究所との共同研究成果である。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nilgs/2016/nilgs16_s13.html
カテゴリ 機能性 データベース

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