タイトル |
ブレンド適性に優れる寒冷地向け超強力小麦「銀河のちから」 |
担当機関 |
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 |
1995~2017 |
研究担当者 |
谷口義則
伊藤裕之
中村和弘
吉川亮
平将人
八田浩一
前島秀和
池永幸子
中村俊樹
伊藤美環子
石川吾郎
中村洋
伊藤誠治
氷見英子
中丸観子
|
発行年度 |
2017 |
要約 |
「銀河のちから」は、強靱なグルテンを持つ超強力小麦でパン・中華めん用のほか、グルテンの質が弱い小麦とのブレンド利用も可能である。縞萎縮病に強く、穂発芽しにくいため、収量・品質が安定している。
|
キーワード |
小麦、超強力、製パン適性、伸張抵抗、穂発芽性
|
背景・ねらい |
東北地域ではパンや中華めん原料の小麦品種として、「ナンブコムギ」や「ゆきちから」が栽培されているが、両品種とも生地の力が不足し、製造できる製品が限定されている。また、縞萎縮病や穂発芽に対する耐性が不十分で、品質・収量が安定しない。そこで、DNAマーカー選抜によりグルテンが強靱な特性を有するとともに、縞萎縮病に強く穂発芽しにくいパン・中華めん用およびブレンド用の超強力小麦品種を育成する。
|
成果の内容・特徴 |
- 「銀河のちから」は「盛系C-138(後の「東北209号」)」を母、「東北205号(後の「ハルイブキ」)」を父とする人工交配の後代から、DNAマーカー選抜によりグルテンが強靱な系統を選抜し育成した。
- 粗たんぱく質含有率は「ゆきちから」と同程度である。生地の伸長度は短いが伸張抵抗が強くてグルテンの質が強靱である(表1)。
- 「ゆきちから」と比べ、灰分含有率は低く、製粉歩留が高く、粉の色相は明度と黄色みは近似するが赤みは高い(表1)。
- 製パン適性は概ね「ゆきちから」や「ナンブコムギ」と同程度であるが、ブレンド適性があり、これらの品種と小麦粉を混合するとパンの体積と官能評価点が大きく向上し、輸入小麦の「HRW」より優れる(表2)。
- 中華めん適性は「ゆきちから」や「ナンブコムギ」と概ね同程度で「HRW」より優れる(表2)。
- 「ゆきちから」より成熟期が2日遅く、稈長が5cm短い。収量は「ゆきちから」と同程度であるが、容積重が大きく、外観品質が優れる(表3)。
- 「ゆきちから」と比べて、耐雪性は劣るが、耐倒伏性と耐穂発芽性は優れる。縞萎縮病に強く、「ナンブコムギ」より優れる(表4)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:小麦生産者。
- 普及予定地域・普及予定面積:耐雪性から判断し、栽培適地は東北・北陸の平坦地(目安は根雪期間80日以下)である。2017年産で岩手県(奨励品種採用)222ha、宮城県10ha、秋田県74ha
- その他:成果の内容・特徴は東北農業研究センター(岩手県盛岡市)における成績で、出穂期、成熟期の早晩および耐雪性の区分は寒冷地北部(東北地域)における基準に基づく。根雪期間が80日を超える地域では殺菌剤や融雪剤を散布する等の雪害軽減策が必要である。
|
研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/popular/result020/2017/17_027.html
|
カテゴリ |
萎縮病
小麦
DNAマーカー
品種
|