課題名 | 農作業の更なる省力化に資する農業機械・装置の開発 |
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課題番号 | 2012020448 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
宮崎昌宏 |
協力分担関係 |
埼玉農総セ 三菱農機(株) 富士平工業(株) 新潟農総研作物セ 宇都宮大学 鹿児島県大崎町 岩手農研セ 帯広畜産大学 十勝農業試験場 東洋農機(株) |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2012 |
摘要 | 水稲作・畑作・飼料作等の土地利用型農業における高効率化や高精度化による農業生産コスト縮減を可能とする農業機械・装置の開発に関して、中山間地域で多種の穀類収穫を可能とする小型汎用コンバインについては、ソバでは、選別部の調整により、脱穀選別損失が8.6%から3.8%、夾雑物割合が9.7%から0.9%に低減し、ナタネでは、穀粒損失5%未満、夾雑物割合0.2%未満と作業精度は良好で、実演・実証では、現場から高い評価を得た。作業機の付け替えにより乗用機械化一貫体系を確立する中山間地用水田栽培管理ビークルとその作業機では、バランスを崩して横転し易い段差乗越え時や傾斜路面での車体安定性を高めるため、前後車輪をそれぞれ昇降できる車輪昇降機構を有する中山間ビークル1号機(走行部)を設計し、製作した。高精度で作業が容易な乾田均平機では、圃場表面の高低差が既知の圃場の均平作業に利用でき、リアグレーダよりも均平精度が高く、作業者が排土板の高さを容易に設定できるトラクター搭載式の乾田均平機を製作した。 湛水直播機の高速作業に対応する技術では、新たな作業機昇降制御機構を試作し、追従性能確認試験を行い、フロートの傾斜角変化は小さく、フロートが受ける垂直方向荷重に関しても荷重変化は減少し、フロートの土壌表面への追従性能の向上を確認した。ラッカセイ収穫機では、反転ディスクとガイド板による反転機構を開発し、最大36%の株が反転する成果を得、掘取り部分の損失は、コンベア速度が早くなるほど増加することを確認した。バレイショのソイルコンディショニング栽培体系に対応したソイルコンディショナでは、野良イモ防除に向けて、実態調査と併せて掘り取り性能を高めるため石礫除去機に定規輪を付加して試験を行い、現行の手作業に比して約20倍の省力効果を確認した。飼料イネ・長大作物兼用収穫装置では、汎用型飼料収穫機に装着可能な、株元切断・搬送機構を製作し、草詰まり、デバイダへの作物の滞留、刈取り高さの均一化など解決すべき課題を明らかにした。自脱コンバインにおける機内清掃の簡易化技術では、搬送系の一部部位について、脱穀等を駆動させるのみの簡易清掃で、従来の清掃後とほぼ同等の水準まで機内残を低減でき、穀粒品質への影響もない、機内残の生じにくい新構造を試作した。 機械化が遅れている園芸分野、畜産分野等の生産性向上に寄与する農業機械・装置の開発に関して、高い能率を可能とするキャベツ収穫機では、刈取ったキャベツを機上の作業者が選別・調製して、コンテナに収容し、90%以上の刈取精度で投下労働時間を40%低減できる小型(積載量400kgのコンテナを1台搭載)と大型(同コンテナを2台搭載)の高能率キャベツ収穫機を開発し、実用化の見通しを得た(平成25年度に市販化予定)。タマネギの調製出荷用機械では、風洞内に積載したタマネギに対して、異なる通風条件を与え、タマネギの乾燥状況を調査した結果、質量減少率3~4%程度の均一な乾燥が行え、腐敗果の発生を抑制できる見通しを得た。空気圧を活用したニラ等の軟弱野菜調製機では、間欠噴射によってニラの下葉除去作業を行うことができる試作機を製作し、空気使用量の削減と、作業精度向上に見通しを得た。走行型小型幹周草刈機では、慣行の幹周草刈作業を調査し、自走式で簡易な操舵輪を有する幹周草刈り基礎試験装置を試作した。わい化リンゴ園で基礎試験装置の確認試験を行った結果、作業者は下枝を避けた位置から装置を操舵して幹周草刈りが可能であった。また、改良点を明らかにした。ナガイモの種イモ切断・防除技術では、処理能力向上を目的として、ナガイモの形状推計モデルを開発し、併せて本モデル結果に基づく複数切片同時切断機構を考案し、形状にかかわらず、15sで切断処理できる種イモ切断装置を試作した。チャの直掛け栽培用被覆資材の被覆・除去装置では、傾斜地での等高線方向作業時に資材が偏らずに巻き取ることができるチャの直掛け被覆栽培のためのアタッチメント1号機を試作した。また、資材固定作業を省力化するため、固定にピンを使わない新方式の資材を供試して、茶芽への障害を調査し、慣行資材と遜色ない結果を得た。トマト接ぎ木苗大量生産技術では、現場における調査の結果から、装置の設計指標を明らかにするとともに、苗性状測定、引抜き試験によりセル苗の取り出し時の引抜き力を確認した。つなぎ飼い牛舎用牛床清掃技術では、異なる季節での起立状態を調査し、清掃作業が可能な時間帯を明らかにし、起立状態を検知する方法を検討した。また、試作したベルト回動式清掃部により模擬牛ふんの除去試験を行い、最高96%の除去率で、円滑に除去可能であることを確認した。飼養管理を効率化する乳牛採食反応検知システムでは、食欲不振牛の抽出精度向上のため、食欲不振の判定方法及び残飼の測定方法を改善し、疾病牛の検出精度の向上を確認した。 農産物の生産・調製・流通過程における高付加価値化に資する農業機械・装置の開発に関して、イチゴの多機能個別包装技術では、個別包装容器を開発し、輸送試験及び貯蔵試験を実施した結果、損傷発生割合、質量減少率の軽減など品質保持に関する効果を明らかにした。高品質TMR成形密封装置では、単体の食品製造副産物等への適応性を高めるため、食品製造副産物などのTMR原料やセミコンを供試した成形密封試験を実施し、食品製造副産物単体では成形が困難な場合でも乾草を混合することによって成形できることを確認した。粗飼料含水率簡易測定装置では、測定方法を変更し、測定精度の向上を図るとともに、現地試験を行い、安定して測定するための改良点を明らかにした。 |
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