課題名 | 土着天敵等を利用した難防除害虫の安定制御技術の構築 |
---|---|
課題番号 | 2014025564 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
後藤千枝 井原史雄 武田光能 佐藤安志 |
協力分担関係 |
北海道大学農学部 道総研・十勝農試 千葉県農林総合研究センター 静岡県農林技術研究所 徳島果樹研 大分県農林水産研究指導センター 山口県農林総合技術センター 高知県農技センター 栃木農業環境指導センター 宮崎県病害虫防除・肥料検査センター |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2014 |
摘要 | 農業に有用な生物多様性指標の評価に基づいた環境保全型農業の評価・管理技術の開発に関しては、 a) リンゴの有機農法再現圃場において、リンゴハマキクロバの天敵として、寄生蜂及び寄生ハエを確認した。 b) リンゴ園で害虫抑制効果が期待されるセアカヒラタゴミムシの発生ピークを明らかにした。さらに、本種の塩基配列から設計した合成オリゴヌクレオチドを用いたブロッキングPCR法による解析で、本種によるアブラムシ類やトビムシ類等捕食の実態を明らかにした。 c) ダニヒメテントウ類の誘殺データから、果樹園周辺のモモ、ツゲ、マテバシイ、サクラ、ヒイラギモクセイなどが天敵の温存場所であることを示した。 d) 微小害虫の天敵として有用なカブリダニ類の評価・管理技術として、主要な土着16種と導入3種の計19種を形態により簡易に識別する方法を開発し、識別マニュアルとして公表した。 天敵類の保護増強に有効な総合的害虫管理体系の確立に関しては、 a) キュウリ半促成栽培ハウスにおいて、優良土着天敵タバコカスミカメの放飼により、害虫ネギアザミウマの密度抑制が可能であることを実証した。 b) 甘長ピーマン栽培ハウスにおいて、優良土着天敵アカメガシワクダアザミウマ放飼と防虫ネットとの併用により、害虫アザミウマ類(ヒラズハナアザミウマ及びネギアザミウマ)の密度抑制が可能であることを実証した。 c) 飛ばないナミテントウ系統から地域集中探索時間の長い個体(Long)と短い個体(Short)を選抜し、それぞれ施設ナス圃場に放飼したところ、雌雄ともにLongを放飼したハウスでより多くの個体が定着し、アブラムシの発生抑制効果が高いことを明らかにした。 d) 薬剤抵抗性個体間識別法を開発するために、捕食性天敵タイリクヒメハナカメムシの薬剤抵抗性に関与する遺伝子の探索を試み、その候補となる遺伝子の配列を得た。 e) プロトタイプであるボトル式の天敵給餌装置を介した蜂蜜液摂取により、ハモグリバエ類の天敵寄生蜂2種の生存日数が大きく延びることをケージ内試験で実証した。本装置はコナガの天敵寄生蜂のみならず、他の害虫を攻撃する複数種の優良天敵にも適用可能な装置であると判断した。 f) ミニトマトの施設有機栽培を対象に体系化を検討し、冬作施設内のバンカーで涵養した天敵を定植直後に設置したミニトマト圃場のバンカーに導入することにより、ワタアブラムシの抑制が可能であることを明らかにした。 g) チューリップヒゲナガアブラムシに対しチャバラアブラコバチを、コナジラミ類に対しツヤコバチ製剤と微生物殺虫剤を、アザミウマ類に対しスピノサド水和剤を、トマトサビダニに対しミルベメクチン乳剤の利用を組み合わせたミニトマトの施設有機栽培における防除体系を提示した。 h) 鹿児島県ピーマン産地の施設栽培圃場にバンカー法を導入して、ジャガイモヒゲナガアブラムシに対するギフアブラバチの防除効果を実証した。 i) ギフアブラバチ・バンカー法に使用するムギ類の種類とその栽培管理方法の検討を行い、バンカー維持が1か月程度の期間まではコムギ「農林61号」、1か月以上の長期間ではコムギ「農林61号」とオオムギ「てまいらず」の混播がそれぞれ適していることを明らかにした。 j) 各種農薬類がチャのハマキガ類の有望天敵キイロタマゴバチに及ぼす影響を評価して、「IPM実践指針モデル(茶)」をベースに各種天敵寄生蜂への悪影響が少ない交信かく乱剤や選択性殺虫剤の利用等を基幹としたチャ病害虫の総合管理体系を策定した。 |
カテゴリ | 病害虫 肥料 有機栽培 害虫 カメムシ 管理技術 きく きゅうり 栽培技術 さくら 雑草 施設栽培 タバコカスミカメ チューリップ 抵抗性 土着天敵 トマト なす ねぎ 農薬 ばら ばれいしょ ピーマン 微小害虫 ヒラズハナアザミウマ 防除 ミニトマト もも 薬剤 りんご わた |