課題名 | 2 新たな食料システムの構築を目指す生産性・持続性・頑強性向上技術の開発 |
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研究機関名 |
国立研究開発法人国際農林水産業研究センター |
研究分担 |
情報広報室 企画連携部 リスク管理室 農村開発領域 社会科学領域 生物資源・利用領域 生産環境・畜産領域 水産領域 熱帯・島嶼研究拠点 |
協力分担関係 |
農業・食品産業技術総合研究機構 水産研究・教育機構 理化学研究所 東京大学 筑波大学 東北大学 京都大学 高知大学 アクトリー ダウ・アグロサイエンス |
研究期間 | 2021-2025 |
年度 | 2021 |
摘要 | 開発途上地域の農業開発ニーズに対応し、対象地域の安定的な食料生産並びに国際的な食料需給及び食料栄養安全保障に貢献するため、上述の活動に加え、以下の取組を行った。 複数環境下におけるキヌア自殖系統(約 160 系統)の表現型データとゲノム解析により得た遺伝子型データなどの統合的解析を行い、ボリビア産キヌアのレジリエンス強化に資する有用育種素材候補系統を選定した(SATREPS ボリビア)。キヌアの高塩ストレス評価栽培系を確立した。キヌアにおけるウイルスベクター法の適用可能系統や適用部位を明らかにした(研究成果情報)。主要インド型品種 IR64 の遺伝的背景に、リン利用効率の高いインド型在来種 DJ123 の染色体断片を含む染色体断片部分置換系統群を整備した。千粒重と籾の長さを促進する秋田 63 号の収量性·粒長と粒重を支配する GS3 対立遺伝子が、籾収量に対する窒素利用効率を 18%向上させることを明らかにした。 年度計画に応じた成果に加え、耐塩性 Ncl 遺伝子を、マーカー選抜によりダイズに導入し、中国において品種登録出願した。南米で問題になっているダイズ紫斑病菌のゲノムDNA 配列を決定し、病原性関連遺伝子候補を特定した(研究成果情報)。これらの情報は、病原性の性状に合わせた的確な防除手段の策定や、病害診断技術の開発に役立つ。 ラオス産黒米(H74)と白米の基準品種(R8)の全ゲノム構造を明らかにした。ラオス産黒米(H50)と白米(Kao Non)の戻し交雑第 1 世代(BC1F1)種子、H50 と白米(Leuam Phua)の雑種第 1 代(F1)種子を得た。ショウガ試料を用いた、抗炎症効果や免疫力を上げる効果があるジンゲロールの分析のためのマニュアルを作成した。ラオスの市場で販売されている米のアミロース含量を分析し、ラオス産粳米は低アミロースの傾向があることが示唆された。麹あま酒の小規模試作を確立して、栄養・機能性に関与する成分(ミネラル吸収阻害因子であるフィチン酸、整腸成分であるイソマルトース)の分析を行った結果、麹あま酒の小規模試作は実用麹菌株を用いた麹あま酒の分析評価に適用できることを確認した。 越境性害虫に対する防除技術の開発に向け、国内外の研究機関と共同研究契約を締結した。モーリタニアにおいて、サバクトビバッタの群生相は、孤独相と比較して大型の卵を産む現象について、群生相のメス成虫は卵吸収の比率がより高くなるためであることを明らかにした。ベトナムにおけるウンカの重要な天敵と考えられるキクヅキコモリグモとカタグロミドリカスミカメの飼育マニュアルを作成し、現地でマニュアルに沿った飼育を開始した。タイにおいてツマジロクサヨトウの卵塊数を調査することで、成虫の圃場への侵入頻度を定量化し、防除技術開発上の留意点を明示した。 年度計画に応じた成果に加え、モーリタニアにおいて、サバクトビバッタの性成熟した群生相の成虫は、雌雄それぞれで集団を形成し、日中、オスの集団にメスが飛来して交尾し、夜間にその場で集団産卵することを明らかにした(研究成果情報)。 東南アジアにおいて二枚貝類の漁場環境観測を実施するためのマニュアルを作成し、ICT も活用したリアルタイム漁場観測手順を確立した。タイ東北部において種苗生産技術が未確立なコイ科魚類も含めて養殖対象種を選定し、生態調査を実施した。ウシエビへのジュズモ乾燥飼料化について検討した結果、直射日光乾燥・日陰乾燥の手法を用いることが効果的と判断された。フィリピンにおける養殖種苗の中間育成場試験候補地を選定するとともに、水産研究・教育機構の協力を得て、石垣島にてハネジナマコの生態調査を実施するとともに、国内漁業をモデルケースとして、養殖コミュニティの社会経済的構造を把 握するためのストックフロー図案を作成した。 年度計画に応じた成果に加え、養殖集団の遺伝的劣化防止や優良系統作出のためには現存する遺伝的多様性を保存することが重要であることから、SATREPS 世界戦略魚を活用し、クルマエビ類に属する、バナナエビ及びウシエビの生殖細胞の凍結保存及び解凍法を確立した(研究成果情報)。 タンザニアの試験候補地において、気象データと湛水状況把握のための数値標高モデルを整備した。タンザニア等におけるイネとトマトの主要な栽培品種を選定して、交配による有用形質の導入を進めた。また、台湾の世界蔬菜センターにおいてアマランサス遺伝資源の生産性・栄養性の評価をもとに有望系統を選抜した。イネのゲノム情報から低肥沃度環境で高い収量をもつ品種や亜鉛含量の高い品種を予測するゲノミックプレディクションモデルを構築し、種子の亜鉛含量が高い有望系統を検出した。マダガスカル農村の家計調査から、作付多様性が食事の多様性に正の効果をもち、特にマメ類の作付が人々の鉄や亜鉛の摂取量改善に効果をもつことを示した。 年度計画に応じた成果に加え、農林水産省補助金を活用し、タンザニアにおいては上位水田の裏作に市場性の高い野菜作を導入することで、農家の所得向上と灌漑地区全体の効率的な水利用に繋がることを示した(研究成果情報)。SATREPS マダガスカルにより、貧栄養土壌でも優れた生産性を示し、食味性にも優れた水稲新品種 2 点をマダガスカルでリリースした。 ガーナ北部 60 農村から、利用する主要作物の組み合わせと地理的配置を加味して、自然・社会環境の異質性を確保した調査対象農村(計 15 村)を選定し、技術利用とその課題を把握するための農村調査を実施した。ダイズについてリン鉱石加工肥料や優良根粒菌接種資材等の投入資材施用効果の検証を開始した。ガーナでの畜産利用及び飼料資源情報の収集・分析の結果、北部小規模農家の多くが反芻家畜を自然放牧で飼養するが、家畜の栄養要求を満たしていないことを確認した。現地での訪問調査によって把握したかんがいが見込まれるため池 10 基から、地域性、他課題との連携、ダムサイズを勘案して 4 基を選択し、流出モデル構築のための水文観測の準備を行った。 年度計画に応じた成果に加え、現地飼料資源の有効活用を通じた乳牛の栄養改善に向け、モザンビークで選抜した新規優良乳酸菌 MOZ1 株について、市販乳酸菌製剤との特性比較を行い、その優れた耐酸性、高温耐性及び乳酸発酵能と、サイレージ品質向上効果を明らかにした。プラズマ発光分光分析を用いた迅速土壌診断法の特許も出願した。 |
キーワード | 頑強性強化作物、栄養改善、育種素材、在来作物、伝統食品活用、越境性害虫、環境調和型防除、持続的水産養殖、アフリカ稲作、持続的食料生産、アフリカ畑作 |
カテゴリ | 肥料 ICT あま アマランサス 育種 遺伝資源 害虫 加工 乾燥 きく 機能性 高温耐性 しょうが 診断技術 新品種 水田 ストック 大豆 土壌診断 トマト 乳牛 バナナ 品種 防除 良食味 |