課題名 | b.寒冷・冷涼気候を利用した夏秋どりイチゴ生産技術と暖地・温暖地のいちご周年生産技術の確立 |
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課題番号 | 2006008485 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター 夏秋どりイチゴ研究チーム 農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター イチゴ周年生産研究チーム |
協力分担関係 |
青森県農林総合研究センター 岩手県農業研究センター 宮城県農業・園芸総合研究所 秋田県農林水産技術センター農業試験場 山形県最上総合支庁 福島県農業総合センター 東北大学 中国計器工業株式会社 福岡県農業総合試験場 |
研究期間 | 新規2006-2010 |
年度 | 2006 |
摘要 | 寒冷・冷涼気候を利用した夏秋どりいちごについては、(1)四季成り性新規検定系統のうち、日持ち性、うどんこ病耐病性、果実品質に優れたいちご4系統を選抜した。(2)越年苗を電熱線加温することで、その後の花芽分化が順調に進むことを示した。また、多孔質フィルムで作ったチューブを高設装置に設置し送風することで培地が冷却され、1株あたりの収量が増加することを明らかにした。(3)短日処理による秋どり栽培について、短日処理期間の有効な施肥法や有望品種等を明らかにした。(4)「なつあかり」「デコルージュ」のランナー発生のための冷蔵処理は11、12月開始が適し、保温開始時期を2月下旬にすると収穫ピークを7月中旬頃まで前進化できることを明らかにした。(5)生産者組織との直接取引は、小規模な洋菓子店が比較的容易に国産の夏秋いちごを仕入れることができる取引形態であることを明らかにした。一方、暖地・温暖地における施設いちごについては、(1)いちごのクラウン部の温度を精度よく制御できる装置を用いて、夏秋季に四季成り性品種のクラウン部を23℃以下に冷却すると連続出蕾性と果実品質が向上し、クラウン部の夜間冷却のみで終日冷却と同様な花芽分化促進効果があること、促成栽培でクラウン部を21℃で管理すると、慣行の約2倍の7~8果房が収穫できることを明らかにした。(2)0.2Lの不織布製ポットによる極少量培地耕での四季成り性品種を用いた夏秋栽培では、生育への高温の影響は小さいが着果、果実肥大が阻害され、また不織布バッグによる極少量培地耕では培地の種類にかかわらず生育が抑制されることを明らかにした。(3)促成栽培でのミヤコカブリダニを用いた実用的なハダニ類の防除体系を確立するとともに、スワルスキーカブリダニの生物特性、ホスチアゼート粒剤や核多角体病ウイルス製剤の有効性を確認した。(4)うどんこ病菌の伝搬源となる赤色病斑痕の生成には、最高気温が35℃を越える条件の他に湿度や光線条件が関与していると推察された。(5)day-neutral型四季成り性に相関するDNAマーカー開発のために、四季成り性実生集団を育成した。シロイヌナズナの花成関連遺伝子EMF2とVRN2およびFLDと相同性のあるイチゴ「Hecker」のcDNA部分断片が得られた。(6)周年生産に適する早生性と食味に優れる促成栽培用2系統、連続出蕾性と果実品質に優れる四季成り性の夏秋どり栽培用2系統を選抜した。育成系統「久留米59号」はやや晩生であるが、大果で果実の揃いと食味に優れ、「久留米60号」は糖度とビタミンC含量が高いと評価された。(7)果実の抗酸化活性分析のための抽出条件を明らかにし、遺伝資源から抗酸化活性やアントシアニン含量の高い品種・系統を見出した。また、食味とアミノ酸組成との関係を解析するための試料を作成した。(8)いちごの重要病害で生産現場で大問題となっている炭そ病、うどんこ病、萎黄病および疫病に対して抵抗性を有し、減農薬栽培が可能な果実揃いに優れる新品種候補「イチゴ久留米58号」を育成した。また、炭そ病抵抗性の異なる品種・系統の自殖集団を育成し、幼苗への炭そ病菌接種を行い、親品種の組合せ能力は自殖実生での残存株率から評価できる可能性が高いことを明らかにした。 |
カテゴリ | 病害虫 萎黄病 いちご 遺伝資源 うどんこ病 新品種 施肥 DNAマーカー 抵抗性 農薬 品種 防除 良食味 |