タイトル | 代かき同時土中点播直播稲作を核とした暖地の水田輪作体系 |
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担当機関 | 栽培生理研究室 |
研究期間 | 1997~2003 |
研究担当者 |
井上裕之 岡本正弘 梶亮太 関正裕 吉永悟志 久保田哲史 原嘉隆 古畑昌巳 笹原和哉 笹倉修司 山下浩 市瀬克也 児嶋清 住吉正 松島憲一 森田弘彦 杉浦直幸 西田瑞彦 川名義明 倉知哲朗 草佳那子 大段秀記 田口善勝 田坂幸平 田谷省三 土屋一成 楠田宰 冨樫辰志 福嶌陽 遊佐陽一 和田節 脇本賢三 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 代かき同時土中点播機を麦・大豆播種に汎用利用できる。北部九州の稲・麦・大豆の水田輪作体系において、高品質・早生の水稲、小麦、大豆の新品種・系統と、播種同時打込み施肥などの開発技術の採用により、作期の競合回避、省力・省資材化が図られ、直播水稲を核とした経営での所得向上につながる。 |
キーワード | 代かき同時土中点播水稲、水田輪作、早生品種、播種機汎用化、播種同時施肥、大豆多条播 |
背景・ねらい | 米政策改革大綱に沿って、省力技術として水稲直播栽培面積の大幅な拡大が求められ、また、稲・麦・大豆の環境保全的で持続的な水田農業の中で高品質な稲・麦・大豆の安定生産技術が求められている。大豆の作付け面積の増加による大豆の収穫と小麦の播種期、小麦収穫期と水稲点播直播の播種期など作業の競合の解消が重要な課題となっている。このため、水稲の代かき同時土中点播直播栽培技術の改良と播種機の汎用化、および九州沖縄農業研究センターで育成された高品質・早生の新品種・系統(水稲「西海238号」、大豆「サチユタカ」、小麦「イワイノダイチ」)の活用を軸とした、北部九州地域に適応した新しい水田輪作体系を確立する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 打込み式点播機のブラケット、播種ロールおよび作溝・覆土・鎮圧機構の交換により、麦、 大豆播種への汎用化が可能である(図1)。水稲の代かき同時土中点播栽培において、被覆肥料を用いた播種同時打込み施肥では、生育・収量・品質は全層施肥と同等で(データ省略)、現地実証地域とほぼ同等の収量水準が得られる(図2)。 2. 高品質・早生品種(系統)を用いた新しい輪作体系での播種時期は、点播水稲が小麦跡で6月下旬まで、大豆は7月下旬まで、小麦は11月下旬となり、作期幅の拡大と作業競合の回避が可能となる(図3)。 3. 水田輪作への大豆作導入は、①次年度のスクミリンゴガイを直播田での要防除密度水準(0.5頭/㎡)以下に低下させる、②麦作での施肥窒素を5kg/10a程度削減できる、③短茎・早生大豆品種を30~40cm条間とした多条播栽培は慣行条間(80cm)より、約15%増収する(図4)、また、④同品種では雑草の発生抑制に必要な条間被覆時期が早まる、などの利点を有する。 4. 開発技術の導入により、大豆による輪作体系を維持する最大面積は24.9haから27.3haに拡大し、農業所得は約270万円増大する。この規模における技術ごとの所得増大効果は「サチユタカ」が125万円、「西海238号」は「ヒノヒカリ」並の評価を得れば90万円となる(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 九州北部の稲・麦・大豆の水田輪作体系の改善に活用する。 2. 水稲点播直播栽培の基本技術については、既刊の「打込み式代かき同時土中点播(ショットガン)直播栽培技術マニュアル(九州沖縄農業研究センター)」、輪作体系等については「代かき同時土中点播直播稲作を核とした暖地水田輪作体系 技術営農マニュアル(九州沖縄農業研究センター:2004年3月刊)」を参照すること。 3. 点播直播に適性の高い水稲新品種候補「西海238号」は品種登録に向けて作業中である。 4. 本成果での品種は熟期や生育特性が同等の品種で置き換えることが可能である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 肥料 経営管理 小麦 雑草 直播栽培 新品種 水田 水稲 スクミリンゴガイ 施肥 大豆 播種 品種 防除 輪作 輪作体系 |