タイトル |
消費者は「かみ切りやすく」かつ「変形しやすい」牛肉をやわらかいと感じる |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 |
2009~2013 |
研究担当者 |
佐々木啓介
本山三知代
成田卓美
萩達朗
尾嶋孝一
大江美香
中島郁世
橘内克弘
室谷進
野村将
千国幸一
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発行年度 |
2013 |
要約 |
消費者が「やわらかい」と評価する牛肉の食感は、客観的には「かみ切りやすく」かつ「変形しやすい」食感である。さらに、消費者は、牛肉のやわらかさを判断する際に「かみ切りすさ重視群」と「変形しやすさ重視群」に分類できる。
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キーワード |
牛肉、消費者、やわらかさ、評価
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背景・ねらい |
「やわらかさ」は日本の消費者が牛肉に求める重要な品質の一つであり、その改善と評価、表示が求められている。しかし、「やわらかさ」という言葉は一意ではない可能性があり、品質改良目標や評価指標とするためにはより客観性を担保する必要がある。これまでに牛肉において「かみ切りやすさ」「変形しやすさ」は異なる食感であり、分けて評価するべきことが明らかにされている。そこで、消費者が感じる牛肉の「やわらかさ」と、客観的な「かみ切りやすさ」「変形しやすさ」の関係を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 本成果は、分析型官能評価により「かみ切りやすさ」「変形しやすさ」を客観的かつ定量的に評価した4種類の牛肉サンプルを用いた結果である。
- 107名の一般消費者(表1)に評価させた上記サンプルの「やわらかさ」を目的変数とし、分析型官能評価による「かみ切りやすさ」「変形しやすさ」を独立変数として重回帰分析すると、消費者が感じる「やわらかさ」は、「かみ切りやすさ」「変形しやすさ」と有意に相関する(P<.001、図1(A))。消費者は「かみ切りやすく」かつ「変形しやすい」牛肉を「やわらかい」と判断していることがわかる。
- 消費者は、「やわらかさ」評価の結果からクラスター解析すると2タイプに分類可能である。第1群(かみ切りやすさ重視群)の「やわらかさ」評価は「かみ切りやすさ」のみと関係がある(P<.001、図1(B))。一方、第2群(変形しやすさ重視群)の「やわらかさ」評価は「かみ切りやすさ」「変形しやすさ」の両方と関係がある(P<.001、図1(C))。
- アンケート調査の結果より(図2)、「かみ切りやすさ重視群」「変形しやすさ重視群」の間では牛肉に対して「噛みしめる感じ」を求める度合いが異なる。
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成果の活用面・留意点 |
- より多くの消費者が「やわらかい」と感じる牛肉を生産するためには、「かみ切りやすさ」「変形しやすさ」の両方を改善する必要がある。
- 食肉の「やわらかさ」評価および表示において、「かみ切りやすさ」「変形しやすさ」を指標とすることができる。
- 本成果における「かみ切りやすさ」「変形しやすさ」の範囲は、ホルスタイン去勢牛サーロインを内部温度50°C、60°C、72°C、92°Cまで加熱して調製した4種の牛肉サンプルの範囲内に限定され、この範囲を大きく外れた食肉における消費者の「やわらかさ」評価は別途検討が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2013/nilgs13_s34.html
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カテゴリ |
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