q.有機性資源の農地還元促進と窒素溶脱低減を中心にした農業生産活動規範の推進のための土壌管理技術の開発

課題名 q.有機性資源の農地還元促進と窒素溶脱低減を中心にした農業生産活動規範の推進のための土壌管理技術の開発
課題番号 2008010614
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 (独)農業・食品産業技術総合研究機構,中央研,資源循環・溶脱低減研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,近農研,広域農業水系保全研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,九州研,土壌環境指標研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,野茶研,資源循環・溶脱低減研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,畜草研,資源循環・溶脱低減研究草地サブチーム
協力分担関係 佐賀県畜産試験場
北海道大学
茨城大学
三重県農業研究所
新潟県農業総合研究所
岐阜県農業技術センター
神奈川県畜産技術センター
香川県環境保健研究センター
岡山県環境センター
茨城県農業総合センター
研究期間 2006-2010
年度 2008
摘要 有機性資源の適正な農地還元を推進するため、1)家畜ふん堆肥の施用当作期間における窒素肥効の簡易評価法を開発し、分析手順の動画や施用法解説を含むマニュアルを作成した。この評価法は、高価な分析機器を必要とせず、また堆肥中のリン酸、カリウムなど他の肥料成分含量も同時に測定することが可能である。さらに、肥効評価結果に基づき適正な施肥設計の自動計算が可能なシステムを構築した。2)九州各地の耕地および隣接未耕地を対象に、表層土壌中の重金属含有率を比較した結果、鉄やコバルト、ニッケルの含有率は耕地化前の含有率に強く依存し、銅、亜鉛の含有率は耕地化後における家畜ふん堆肥などの有機物施用量に強く影響されることを明らかにした。 農業生産活動に伴う硝酸態窒素の流出負荷低減に向けて、1)各種有機質肥料に含まれる窒素は、米ぬか脱脂粕とカニガラミールを除き、土壌施用後2カ月半の間に7~8割が無機化することを黒ボク土と灰色低地土で明らかにした。また、米ぬか脱脂粕は、土壌を嫌気的にし土壌窒素の無機化量を増加させること、無機化して蓄積した硝酸態窒素のうち亜酸化窒素に変換される比率は、硫安の約0.2%に対して、有機質肥料では1%前後のものが多いことを明らかにした。2)傾斜小流域の土壌水中における硝酸イオン濃度は、施肥草地で高く、その下流域の無施肥草地や林地で低いことを明らかにした。また硝酸イオン濃度が低い林地では炭酸水素イオン濃度が高いことを示した。3)九州沖縄の有機物連用土壌において、黒ボク土では、有機質資材からのカリウムイオンの初期溶出が他の陽イオンに比べて遅延する傾向にあること、硝酸イオンの保持能は未耕地に比べて大きく低下することを明らかにした。一方、非黒ボク土は元々の硝酸イオン保持能が小さいことから、有機物を連用しても低下は認められないことを明らかにした。 作物養分要求に基づく高機能家畜ふん堆肥の施用技術を開発するため、1)窒素付加堆肥施用の現地実証を行い、諫早湾干拓地の春馬鈴しょ栽培では、牛ふん堆肥と混合施用することで化学肥料による窒素施用量を57%削減し6kg/10aとしても目標収量(3,200kg/10a)を上回る収量を得た。また、熊本県菊池地域の春にんじん栽培では、窒素付加堆肥又は牛・鶏ふん混合ペレット堆肥の単独施用でも慣行と同等の収量を得た。これらの結果を踏まえ、マニュアル作成に向けて、これまでの成果を取りまとめた。 閉鎖系水域における水質保全を目指して、1)岡山・香川陸域から瀬戸内海へ流出する窒素・リンの負荷量を河川経由流出、地下水経由流出、海域への直接流出に分けて推定し、海域へ直接流出する負荷量が河川経由の負荷量と同等又はそれ以上であることを示した。2)山間部から平野に至る地形連鎖の中で生じる自然浄化作用を組み込んだ地形連鎖窒素フローモデルをもとに、畜産由来排水の水田貯留による水質浄化予測モデルを開発するとともに、溜め池から水田を経由して河川に流入する場合の水質浄化予測モデルについてパラメータの精度を向上させた。3)農地を含む流域スケールの環境負荷推定モデルを作成し、琵琶湖流域の水田で滋賀県が推進している「環境こだわり農業」を行う場合、作付け期間中における窒素、リンの排出負荷量は最大でそれぞれ26%および41%低減できるものと予測した。4)窒素流出低減資材として鉄処理木炭を選抜するとともに、本資材の硝酸イオン吸着能は、リン酸、硫酸イオンにはほとんど阻害されないことを明らかにした。5)日射量に対応してかん水量が変化する日射対応型拍動自動かん水装置を用いた低流量点滴かん水施肥を導入することにより、化成肥料の施用量を5割程度削減できること、本かん水施肥に富栄養化地下水を利用すれば窒素施用量をさらに1~2割削減できることを明らかにした。
カテゴリ 土づくり 肥料 水田 施肥 施用技術 土壌管理技術 にんじん 評価法

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