課題名 | b.寒冷・冷涼気候を利用した夏秋どりいちご生産技術と暖地・温暖地のいちご周年生産技術の確立 |
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課題番号 | 2009013862 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,東北研,夏秋どりイチゴ研究チーム (独)農業・食品産業技術総合研究機構,九州研,イチゴ周年生産研究チーム |
協力分担関係 |
岩手農研セ 宮城農総研 青森農総研セ 山形最上支庁 秋田農技セ 福島農総セ 佐賀県農業試験研究センター 鹿児島県農業開発総合センター 長崎県農林技術開発センター 九州大学農学研究院 |
研究期間 | 2006-2010 |
年度 | 2009 |
摘要 | 寒冷・冷涼気候を利用した夏秋どりいちごの高収益生産の実現に向けて、1)「盛岡33号」及び「盛岡34号」は、「なつあかり」より収量性、果実の硬さ、うどんこ病抵抗性において優れていたが、3年目の特性検定試験・系統適応性検定試験において食味不良と萎黄病に弱いなどの理由から普及性は低いと判定され、品種登録に至らなかった。新たに低温カット栽培に適した晩生の一季成り性系統「盛岡35号」を特性検定試験・系統適応性検定試験に供試した。また、 遺伝子の対立関係の分析から、いちごにおける倍数性との関係が推測されるSSRマーカーを見出した。2)一季成り性品種による春夏どり栽培において、越年株を利用する場合、保温を5月上旬まで続けることで出蕾花房数が増加して多収になること、また冷蔵苗を利用する作型では、5月下旬に定植すると収量が最大になることを明らかにした。3)一季成り性品種を用いた秋春二期どり栽培において、定植後短日処理と局所加温とを組合せることで、冬春期の連続収穫が可能となるが、電照処理による増収効果は低いと判断された。4)四季成り性品種「なつあかり」について、越年株を用いた作型では、5月に採苗することにより、当年秋期及び翌年の春期、夏期に収穫する三期どり栽培が可能となり、株当たり1kgを超える収量が得られることを明らかにした。当年苗を利用した「なつあかり」の秋どり栽培において、定植前24時間長日処理を行うと16時間長日処理、夜間4時間光中断処理を行うよりも出蕾花房数が多く、多収となることを明らかにした。5)四季成り性品種の「なつあかり」及び「デコルージュ」の秋定植高設栽培では、春期施肥量として「なつあかり」では12mg/株/日、「デコルージュ」では10~12mg/株/日が適していることを明らかにした。6)四季成り性の強弱と早晩性との間には強い相関関係があることを示すとともに、収集した四季成り性品種の中では「なつあかり」が最も晩生品種であることを明らかにした。四季成り性品種間及び四季成り性品種と一季成り性品種とのF1における四季成り性の分離を検討した結果、四季成り性は一季成り性に対し優性であり、おおむね1つの主働遺伝子によって支配されていると推定した。7)四季成りいちごを家庭生食向けに販売する場合、特に大玉を規格化することで、手土産需要を中心に比較的高値の販売が見込めることを明らかにした 暖地・温暖地における施設いちごの周年・高品質生産の実現に向けて、1)秋に採苗しハウス内で越年させた苗を、翌年の8月初めに夜冷短日処理により花芽分化させ、定植直後からクラウン部の温度を管理すると、連続出蕾性が向上し、早期収量が増加することにより、収益性が向上することを確認した。2)四季成り性いちごを用いた夏秋どり栽培において、定植直後の5月からクラウン部を20℃前後で管理すると、出蕾果房数が増加し、果実肥大が向上するとともに、高温期に開花した花における花粉の発芽能力及び雌ずいの受精能力が向上することを明らかにした。3)20年度に選抜した、日長の長短に関わらずコンスタントに花をつかせるday-neutral型四季成り性と高い相関のあるRAPDマーカーについて、F19個体(一季成り性5個体、day-neutral型四季成り性4個体)において適合性を確認した。4)暖地・温暖地向けの「久留米60号」は、3ヶ年の特性検定試験・系統適応性検定試験の結果から、「とよのか」並の早生性と「さちのか」並の収量性を有し、収穫期間を通じてビタミンC含量、糖度とも高いことから、高付加価値品種として普及が見込めると判断し、新品種登録候補とした。また、早生で収量性に優れ、うどんこ病抵抗性を有する系統「03041-23」を選抜し、「久留米62号」の系統名を付して、22年度から特性検定試験・系統適応性検定試験に供試することとした。 |
カテゴリ | 萎黄病 いちご うどんこ病 高付加価値 栽培技術 新品種 施肥 抵抗性 品種 良食味 |