a.気候温暖化等環境変動に対応した農業生産管理技術の開発

課題名 a.気候温暖化等環境変動に対応した農業生産管理技術の開発
課題番号 2009013891
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 (独)農業・食品産業技術総合研究機構,北農研,寒地温暖化研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,東北研,寒冷地温暖化研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,九州研,暖地温暖化研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,果樹研,果樹温暖化研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,果樹研,カンキツグリーニング病研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,畜草研,畜産温暖化研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,近農研,暖地温暖化研究近中四サブチーム
協力分担関係 北海道大学
宮城県古川農試
山形農総研
岩手大学
宮崎県総合農業試験場
鹿児島県農業開発総合センター
山梨県果樹試験場
和歌山県農林水産総合技術センター
鳥取県農林総合研究所
沖縄県農業研究センター
研究期間 2006-2010
年度 2009
摘要 農業生産に及ぼす温暖化の影響を解明するため、1)電照による日長制御を用いた地域間連携試験により、温暖化後の環境を模擬する水稲の栽培実験系を構築できることを明らかにした。「コシヒカリ」程度以上の日長感応性を有する品種では、北海道の長日条件によって出穂が抑制されるため、生育期間中の平均気温が1~2℃上昇したとしても登熟に至らないことを明らかにした。また、稲の発育速度について、日長反応性の品種間差は大きいが、気温反応性の品種間差は小さいこと、札幌の気温条件における発育速度はつくばの気温条件の75%程度になることを明らかにした。2)黒毛和種繁殖雌牛において、夏季高温期には、血中の抗酸化酵素の活性が低下すること、及び発情周期が延長することを明らかにした。3)積雪・土壌凍結地帯における長期観測結果から、融雪期以前の厳寒期(12月上旬~2月下旬)における土壌中の水移動を定量化し、土壌が20cmの深さまで凍結する年には、地表に向かって約30mmの降水量に相当する水が上昇し、凍結のない年には下向きに最大で60mmの降水量に相当する水が移動することを明らかにした。 水稲等における温暖化対策技術の開発では、1)水稲における少量継続追肥は、茎内の非構造性炭水化物含量を増加させることから、高温寡照年における収量や品質の低下抑制に有効であることを明らかにした。2)低アミロース水稲品種「スノーパール」の直播栽培において、穂肥の増肥による収量及び外観品質の向上効果を確認した。また、低アミロース水稲品種における玄米白濁の発生を日平均気温から推定する手法を開発するとともに、東北地域において目標アミロース含有率を安定的に確保可能な栽培適地と適作期を判断する際に有用なアミロース予測値マップを作成した。 暖地性害虫類の北上予測等に向けて、1)アブラナ科作物の害虫であるコナガについて、21年度の捕獲時期は最近の23年間で最も早かったことから、昨年度見出した近年の捕獲時期の早期化傾向を再確認した。  畜産、飼料作における温暖化対策技術の開発では、1)暑熱条件下において育成牛の粗飼料摂取を確保するためには、繊維含量が低く、繊維の分解速度が高い粗飼料を給与する必要があることを示した。また、肥育牛におけるシコリの発生にはビタミンA欠乏による筋肉水腫の発生が関係することを明らかにするとともに、肥育後期牛では、血漿ビタミンA濃度が夏季(6~10月)に約30%低下することから、夏季にはビタミンAの給与量を増やす必要があることを示した。2)メタン発酵処理システムで得られるガスをエネルギー源とするスポット冷房システムについて、稼動性能と家畜への冷房効果を検証し、21年度は冷夏のため熱負荷が例年より少なかったものの、乾球温度で約7℃、有効温度(0.35×乾球温度+0.65×湿球温度)で約3℃低い冷風を安定供給できること、本冷風により家畜における熱蓄積量が低下することを示した。3)ライグラス類のいもち病菌を分子系統により分類すると、ライグラス菌はイネ菌とは異なる2グループに分類できることを明らかにした。また、いもち病抵抗性ライグラス系統「山育181号」は、いもち病62菌株を接種しても発病しないことから、強い抵抗性を有することを明らかにした。4)耐旱性・耐暑性に着目して選抜・育成したオーチャードグラスにおいて、飼料成分や乾物消化率に品種・系統間で差があることを認めた。また、ホールクロップサイレージの発酵品質に関連する稲の単少糖類含量は27℃で栽培した場合に、23℃、31℃及び35℃に比べ最も低いことを示した。 果樹における温暖化対策技術の開発では、1)着色が良いとされるりんごの早生・中生品種について、簡易着色評価試験により収穫期の気温を25℃または20℃としても良好に着色することを複数年にわたって確認した。2)うんしゅうみかんについて、浮皮発生の少ない品種は多い品種に比べてナトリウムとマグネシウムの含量が多く、カリ含量は少ない傾向にあることを明らかにした。3)20年度に明らかにした着色開始後10日間の低温によるぶどうの着色向上効果を検証するため、温室で栽培しているぶどう「安芸クイーン」に対して、ヒートポンプを利用し、着色開始後10日間または20日間夜間冷房したところ、果房の着色向上効果が認められた。4)りんごについて、発芽から開花までの生育ステージを精度良く予測可能な手法を確立した。5)日本なしにおいて、自発休眠に関与すると考えられているMADS-box遺伝子(DAM遺伝子)を単離し、自発休眠中の発現を解析したところ、ももやうめで報告されている結果と同様、覚醒に伴い発現が低下したことから、日本なしでも自発休眠覚醒にDAM遺伝子が関与することが示唆された。6)りんごの生育ステージ及び耐凍性の推移をモデル化し、耐凍性と日最低気温との関係から晩霜害の危険度を定量的に評価する手法を開発した。本手法により近年の平均気温から評価した晩霜害の危険度が低下している地域(群馬県沼田市等)と上昇している地域(青森県黒石市等)は実際の晩霜害発生地域の変化傾向と一致することを示した。 カンキツグリーニング病の伝搬機構の解明及び分布拡大阻止技術の開発に向けて、1)ミカンキジラミは、幼虫期に保毒した方が成虫期に初めて保毒するよりも、グリーニング病の伝搬率が数倍高く、危険性が高いことを明らかにした。2)アジアで発生しているグリーニング病の病原細菌は、ゲノムの塩基配列の差異から5グループに分けられ、日本の病原細菌は、他地域の細菌とは異なり特異な病原集団に属することを明らかにした。また、ゲノムの塩基配列の差異を利用した高感度検出法を用い、外国からの細菌の侵入経路をモニタリングする技術を開発した。 温室効果ガス発生の地域的特徴の把握及び発生制御法の開発では、1)泥炭地における温室効果ガスの測定結果をとりまとめ、有機質土壌の耕起に由来する水田からの亜酸化窒素排出量を定量化したことにより、IPCCのデフォルト値(8kg N2O-N/ha/年)に替えて、実態に即した我が国独自の数値(0.30kg N2O-N/ha/年)を設定することができた。2)馬鈴しょ-秋播き小麦-てん菜-大豆の4年輪作における化石燃料消費に伴うCO2排出量は、省耕起、化学肥料のみの施用(堆肥無施用)とするとともに、麦わらのほ場還元等により有機物を多投入し、さらに、残さの少ない馬鈴しょに替えて、残さが多く化石燃料消費も少ないスイートコーンを導入することによって、34%削減できることを明らかにした。3)転換畑から復元した水田ほ場におけるメタン放出量のモニタリングから、放出量は水田連作年数が長いほど増加すること、この現象には土壌中の3価鉄に代表される電子受容体の減少が関連することを20年度に引き続き確認した。4)液状ふん尿貯留槽から発生するメタンを高い再現性で評価可能な温室効果ガス測定用のチャンバーシステムを開発し、数週間連続してデータが得られることを農家における測定で検証した。また、液状ふん尿貯留物からの温室効果ガス発生の制御技術を開発するため、貯留時の管理条件を変化させることにより温室効果ガス発生を制御可能な2種の小型試験装置を作製した。5)牛からのメタン発生量は、飼料に体重100kg当たり4gのカシューナッツ殻油を添加すると乾物摂取1kg当たり37.7%抑制できるが、消化率が乾物では4.8%、有機物では4.1%、エネルギーでは5.2%低下することを明らかにした。
カテゴリ 肥料 あぶらな いもち病 うめ 温州みかん 温暖化対策 害虫 管理技術 直播栽培 水田 水稲 耐暑性 抵抗性 ナッツ 日本なし 繁殖性改善 ヒートポンプ 品種 ぶどう モニタリング もも りんご 輪作 その他のかんきつ

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