課題名 | a.気候温暖化等環境変動に対応した農業生産管理技術の開発 |
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課題番号 | 2010014880 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,北農研,寒地温暖化研究チーム (独)農業・食品産業技術総合研究機構,東北研,寒冷地温暖化研究チーム (独)農業・食品産業技術総合研究機構,九州研,暖地温暖化研究チーム (独)農業・食品産業技術総合研究機構,果樹研,果樹温暖化研究チーム (独)農業・食品産業技術総合研究機構,果樹研,カンキツグリーニング病研究チーム (独)農業・食品産業技術総合研究機構,畜草研,畜産温暖化研究チーム (独)農業・食品産業技術総合研究機構,近農研,暖地温暖化研究近中四サブチーム |
協力分担関係 |
北海道大学 十勝農協連 道総研 宮城県古川農試 山形農総研 京都大 宮崎県総合農業試験場 鹿児島県農業開発総合センター 愛媛大学 国立大学法人筑波大学 |
研究期間 | 2006-2010 |
年度 | 2010 |
摘要 | 農業生産に及ぼす温暖化の影響の評価に向けて、1)温暖化の影響により、盛岡市のイネ紋枯病の被害度が年々増加して2100年には2000年の約2.4倍になると予想した。感染前のイネの生育気温が高いほど、発現する葉いもち病斑数が少なくなることを明らかにした。2)温暖化による将来の果樹栽培適地を高精度に判定するため、うんしゅうみかんにおいて既往成果よりも新しい統計期間を用いて、また寒害発生確率も判定基準に加えてマップ化した。現在の栽培適地よりも将来的には高温となる地域の割合がわずかに増加し、中山間地では寒害発生による不適地が増えることを示した。気象生態解明と環境適応型シナリオの提示に向けて、1)全国連携栽培試験(北海道農研、東北農研、中央農研、九州沖縄農研等)を推進し、水田水温加温処理、温度勾配実験装置(TGC)試験と併せて水稲の発育と気温・水温・日長との関係を解析し、温暖化条件における水稲の適応型品種・作期の策定を支援するシステムを構築した。暖地性害虫類の北上予測等に向けて、1)害虫の北上傾向について、ヤサイゾウムシ、キチョウ秋型が近年、盛岡市に北上定着したことを確認し、これら近年の北上種では初見日の変動が大きいことを見いだした。温暖化により引き起こされる現象の発生メカニズムの解明にむけて、1)水稲の気象生態反応の解明に関しては、水稲の籾の登熟過程で特異的に発現するアクアポリン(イネの水移動を支配する膜タンパク)の種類と発現量の変動パターンを明らかにした。また、水稲幼苗の低気温障害が高地温条件で助長される現象の原因が、葉への硝酸や亜硝酸の蓄積であることを明らかにした。水稲等における温暖化対策技術の開発に向けて、1)近年、十勝地方は土壌凍結深が顕著な減少傾向にあり、農業への影響としてバレイショの野良生え(野良イモ)が大発生していることを明らかにした。また、春の融雪水の浸透量は土壌凍結が深くなるほど減少することを定量化した。2)スノーパールは20年度に移植栽培より品質が優れることを示したが、後期追肥により移植栽培に近い収量が得られることを21年に引き続き確認するとともに、品質、食味へも影響がないことを確認した。畜産、飼料作における温暖化対策技術の開発に向けて、1)高温期に抗酸化成分を乳牛に投与することで、血中の抗酸化成分が増加することを示すとともに、抗酸化飼料の給与による酸化ストレス低減技術として、畜産現場で利用可能な抗酸化機能を有する低コスト食品加工残渣であるニンジン粕やミカンジュース粕の給与により血中および乳中の抗酸化成分が増加することを提示した。2)中性デタージェント繊維(NDF)含量が低くNDF分解速度の高い良質粗飼料は、暑熱下でも栄養摂取量をある程度確保できるため、窒素を増給することで育成牛での体たんぱく質蓄積を改善することを示した。果樹における温暖化対策技術の開発に向けて、1)日本なし「幸水」において、シアナミド剤によりカタラーゼとペルオキシダーゼ活性の抑制が認めらること、KODAでは、ペルオキシダーゼ活性のみ抑制されることを明らかにした。これは日本なしの休眠覚醒には両方の酵素活性の抑制が必要であることを示唆するもので、休眠覚醒機構の解明とともに、新たな休眠打破剤の開発、検討の指標となる。2)日本なしにおいては、ソルビトールが自発休眠覚醒や覚醒後の芽の萌芽を抑制している可能性を示した。カンキツグリーニング病の伝搬機構の解明および分布拡大阻止技術の開発に向けて、1)分布拡大阻止技術の開発では、分布拡大阻止に極めて有効な早期診断法と侵入経路推定法の体系化に取り組んだ。その結果、LAMP法をさらに簡便化して、魔法瓶内での遺伝子増殖を可能にし、簡易なサンプル調整法と併せて早期診断法として完成させた。また、病原細菌のゲノムDNA中の単純繰り返し配列(SSR)をマーカーとして、菌株群レベルでのモニタリングを可能とし、グリーニング病発生北限の喜界島への侵入経路推定に有効であることを提示した。2)カンキツグリーニング病原細菌の分布域を明らかにするため、インド北東部の病原細菌の16S rDNAとomp遺伝子周辺領域の塩基配列を比較すると、インド分離株よりもアジア共通型分離株に遺伝的に近いことを解明した。温室効果ガス発生の地域的特徴の把握および発生制御法の開発に向けて、1)水田転換畑を対象とした不耕起栽培の導入で、LCA評価によって温室効果ガス30%削減の可能性が提示できた。2)積雪モデルおよびCO2動態予測モデルを観測検証に基づいて改良し、実測値標高を用いたパラメータのチューニング等により積雪地帯の流域スケールにおける高精度CO2動態モデルを構築した。 |
カテゴリ | いもち病 温州みかん 温暖化対策 害虫 加工 管理技術 水田 中山間地域 低コスト 日本なし 乳牛 にんじん ばれいしょ 品種 不耕起栽培 モニタリング 良食味 その他のかんきつ |