米粉等加工用・業務用水稲品種の育成及び米の未利用成分利用技術の開発

課題名 米粉等加工用・業務用水稲品種の育成及び米の未利用成分利用技術の開発
課題番号 2011017506
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 (独)農業・食品産業技術総合研究機構,作物研,稲
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,北農研,寒地作物
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,東北研,水田作
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,中央研,作物開発
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,近農研,水田作
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,九州研,水田作・園芸
協力分担関係 農業生物資源研究所
国際農林水産業研究センター熱帯・島嶼研究拠点
理化学研究所
北海道立総合研究機構・食品加工技術センター
富山県農林水産総合技術センター
京都府作物研究所
兵庫県農林水産技術総合センター
東北大学大学院・農学研究科
九州大学農学研究院
宮崎大学
研究期間 2011-2015
年度 2011
摘要 米粉パンなど新規需要用品種の育成に関しては、a)米粉用として、ライスパスタなどの加工用途に向く北海道に適した高アミロース系統「北海315号」を新品種候補系統として育成した。平成22年度に育成し、山口県で酒造用掛米用として普及を進めている極多収の「やまだわら」は、米粉パン用としても適性が高いことを確認した。また、米粉用としての実用化に向けて、東北地域に適した低アミロースのタンパク質変異米系統「奥羽405号」の現地試験を実施した。b)多収の酒造用原料として、京都府との共同育成による大粒、良質の「収8203」、温暖地・暖地に適する複合病害抵抗性、良食味の「西海271号」をそれぞれ品種登録出願することとした。c)餅や米菓用として、つき餅の食味が優れる東北中南部以西向き「北陸糯199号」を新品種候補系統として育成した。また、民間企業との共同研究の結果、東北中南部以西向き多収、低アミロースの「北陸231号」は超ソフトタイプのせんべいの製造が可能なことを確認し、製品化を図るために品種登録出願することとした。d)温暖地に適した良食味で米粉パン用としても利用が期待できる低アミロースの巨大胚系統「中国胚202号」を新品種候補として育成した。また、赤米の色素を活かして高付加価値の米粉製品への利用が期待できる低アミロースの「関東赤234号」を実用化に向けて品種登録出願することとした。 耐病性、収量性、直播適性、高温耐性及び二毛作適性を備えた業務用品種の育成に関しては、a) DNAマーカーを利用して平成20年度に育成した低アミロース品種「ミルキーサマー」について沖縄県での地域適応性を検討してきた結果、「ミルキークイーン」より多収で、今後の良食味米生産に貢献できることが確認され、平成23年度から同県で奨励品種に採用された。このため、農林認定を申請することとした。b)耐病性、収量性、直播適性等に優れる品種育成では、東北中南部以西の中山間地向けで、耐冷性、いもち病抵抗性に優れ、多収、良食味の「北陸202号」を新品種候補系統として育成した。また、直播適性に優れ、良質・良食味でいもち耐病性、耐冷性に優れる「奥羽407号」の現地試験を実施した結果、有望であったことから平成24年度品種登録出願を検討する。c)DNAマーカーを利用して耐病虫性や環境ストレス耐性を導入した同質遺伝子系統として、陸稲由来の縞葉枯病抵抗性遺伝子Stva、Stvbといもち病圃場抵抗性遺伝子Pi34を併せ持つ「コシヒカリ」の同質遺伝子系統「中国IL3号」、いもち病抵抗性遺伝子Pik-mを持つ「ヒノヒカリ」の同質遺伝子系統「関東IL11号」をそれぞれ実用化に向けて品種登録出願することとした。d)高温耐性の優れる新配付系統として、「あきたこまち」熟期の「北陸249号」、九州向けの「西海290号」、高温での胴割れが少ない早生の「奥羽417号」を開発した。e)二毛作適性を備えた業務用品種として、新品種「ほしじるし(関東238号)」について栃木県内のビールムギとの二毛作地帯や茨城県内の単作早植地帯において試作し、現地での普及に向けた検討を行った。 100%米粉や玄米全粒粉等の米粉パン等への利用技術の開発に関しては、a)製粉特性が優れる粉質米特性(乳白変異)の選抜用DNAマーカーを開発するために、遺伝解析を行ったところ、供試した6系統全てで、乳白変異の原因遺伝子が第5染色体上の同じ領域に存在することを示した。b)米粉に米麹を添加して前醗酵することで、膨らみの向上した100%米粉パンを作ることができた。米の適性品質の解析から、20~25%程度のアミロース含有率、ならびに貯蔵タンパク質変異が膨らみと食味の両方に良好であることを明らかにした。c)長期間保存した米粉ほど吸水が少なく、米粉パン生地のミキシング耐性が増すことを明らかにした。 米ぬか等の未利用機能を活用した加工利用技術の開発に関しては、a)玄米中のγ-オリザノール含量の一粒分析を可能とする抽出法と測定法を確立し、短時間で多くの試料を分析できる簡易測定法となりうることを確認した。b)リパーゼ/エステラーゼ活性を指標として、米ぬか中に存在する主要なエステラーゼ遺伝子 OsEST1 を同定した。エステラーゼOsEST1はエステル結合の側鎖が長くなると活性が極端に低下し、トリグリセロールには作用しないことを明らかにした。 このほか、有用な育種素材の開発に関して、a)「いただき」を遺伝的背景としたスリナム原産野生種Oryza glumaepatula (IRGC- Acc100968)の染色体断片導入系統群(47系統)を作出し、作物研究所ホームページ(http://nics.naro.affrc.go.jp/ine_idensi/)で公開した。b)玄米カドミウム(Cd)低吸収性系統「奥羽PL6」が有する低Cd吸収性QTLの染色体領域を明らかにした。また、カドミウム吸収量が「コシヒカリ」の約7倍である「奥羽419号」をファイトレメディエーション用の新配付系統として開発した。
カテゴリ 育種 いもち病 加工 簡易測定 高温耐性 高付加価値 縞葉枯病 新品種 水田 水稲 多収良食味 中山間地域 DNAマーカー 抵抗性 抵抗性遺伝子 二毛作 病害抵抗性 品種 良食味 輪作

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