硬くなりにくく和菓子への加工適性を有する、多収の水稲糯新品種「やたのもち」

タイトル 硬くなりにくく和菓子への加工適性を有する、多収の水稲糯新品種「やたのもち」
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
研究期間 1998~2014
研究担当者 後藤明俊
山口誠之
石井卓朗
平林秀介
竹内善信
小林伸哉
黒木慎
加藤浩
春原嘉弘
根本博
安東郁男
井邊時雄
佐藤宏之
前田英郎
田中淳一
津田直人
常松浩史
池ヶ谷智仁
太田久稔
出田収
平山正賢
青木法明
坂井真
田村和彦
発行年度 2014
要約 「やたのもち」は温暖地東部では「マンゲツモチ」と同等に中生の熟期に属し、「マンゲツモチ」よりも13%程度高い収量性を示す。餅の硬化性が低く、大福等の和菓子への加工適性を有している。
キーワード 水稲、糯、多収、難硬化性
背景・ねらい 糯米は和菓子や切り餅等の加工用原料として用いられているが、米の内外価格差は依然大きく存在している状況であり、国産糯米の需要を守っていくためにも、従来よりも高付加価値で生産性の高い糯米の開発が求められている。また、大福等の和菓子に関しては、やわらかさが持続することが求められており、硬くなりにくい糯米を使用することが出来れば、添加物の低減による低コスト化や製品の高付加価値化に寄与するものと考えられる。そこで、餅が硬化しにくく、多収の糯品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 「やたのもち」は「マンゲツモチ」熟期の多収で良質な糯品種を育成することを目標として、台湾で育成された多収糯品種「台中糯70号」と、国際稲研究所(IRRI)で育成された極穂重型の系統である 「IR65564-44-5-1」の交雑後代より育成された品種である。(表1)
  2. 「やたのもち」の早晩性は出穂期、成熟期とも育成地で「マンゲツモチ」と同程度であり、"中生の早"に属する糯種である(表1)。
  3. 「やたのもち」の稈長は「マンゲツモチ」と比較して11cm程度長く、耐倒伏性は「マンゲツモチ」と同程度の'やや弱'である(表1、写真1)。
  4. 「やたのもち」の収量性は「マンゲツモチ」に比べて育成地で13%程度高く、玄米の外観品質は「マンゲツモチ」並であり、餅の食味は「マンゲツモチ」と同程度の"上中"である(表1)
  5. 餅の硬化性は「マンゲツモチ」より低い(表1、写真2)。餅菓子製造用の機械で製造した餅の官能成績は良好で、おいしさややわらかさの経時変化も「マンゲツモチ」に比べ小さく、和菓子への加工適性があると考えられる(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 北陸および関東以西の地域での栽培に適している。和歌山県田辺市等で和菓子の製品化への取り組みが進められており、今後、数ha程度の実用栽培が見込まれている。
  2. 枯れ上がりが早く、耐倒伏性が弱いために適期を逃すと倒伏が著しく生じる可能性がある。脱粒性が"中"であり、穂発芽も"やや易"であることと合わせて、刈り遅れには十分注意する。
  3. 稈長が長いので、倒伏を避けるためにも過度の施肥は控える。
  4. 白葉枯病には極弱なので、常発地帯での栽培は避ける。
  5. いもち病に関しては不明の真性抵抗性遺伝子を持つと考えられるので、侵害菌の発生に注意し、発生した場合は迅速に防除を行う。
  6. ふ先色は"白"であり、種子について一般食用米と混ざらないよう注意を要する。
図表1 237006-1.jpg
図表2 237006-2.jpg
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図表4 237006-4.jpg
図表5 237006-5.jpg
図表6 237006-6.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nics/2014/nics14_s02.html
カテゴリ 病害虫 いもち病 加工 加工適性 高付加価値 新品種 水稲 施肥 抵抗性遺伝子 低コスト 品種 防除 良食味

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