乳製品の特性を改変する乳酸菌補助スターター

タイトル 乳製品の特性を改変する乳酸菌補助スターター
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産研究部門
研究期間 2014~2019
研究担当者 萩達朗
佐々木啓介
中川博之
大森英之
成田卓美
渡邊源哉
本山三知代
中島郁世
小林美穂
野村将
発行年度 2020
要約 GABA(γ-アミノ酪酸)生産乳酸菌Lactococcus lactis 01-7株は、発酵乳の血圧降下作用を示すペプチドを増加するとともに、「濃厚な」食感を高める。
キーワード 発酵乳、機能性、官能評価
背景・ねらい 発酵乳やチーズ等の発酵乳製品の製造には、乳酸菌が必要不可欠である。多くの地域乳業メーカーは、海外から乳製品製造用の「たね菌」(スターター)を購入しており、風味や品質、機能性に独自性を出しにくく、製品としての差別化が難しい。このため、公的研究機関による独自のスターターや乳製品の開発と成果移転が求められている。
当ユニットで分離されたGABA(γ-アミノ酪酸)生産乳酸菌Lactococcus lactis 01-7株(以下、01-7株)は、発酵乳およびチーズ中のGABA含量を増加させ、差別化スターターとして有望である。本研究では、さらに付加価値を高めるために、メタボローム解析により探索した発酵乳中に含まれる機能性成分候補および、分析型官能評価により解析した発酵乳の特性を示す。
成果の内容・特徴 1.01-7株添加により発酵乳に生成する機能性成分の探索は、GABAを生成しないLactococcus lactis 01-1株(以下、01-1株)のみをコントロール区とし、01-1株+01-7株を試験区として行っている。
2.01-7株を添加して培養したGABA含有発酵乳は、01-7株を添加しないコントロール区より高いアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害活性を示す(図1)。これを反映し、01-7株添加でACE阻害ペプチドであるLeu-Pro(ロイシン-プロリン)、Val-Pro(バリン-プロリン)、Ala-Pro(アラニン-プロリン)、Val-Pro-Pro(バリン-プロリン-プロリン)、Val-Leu(バリン-ロイシン)、 Pro-Pro(プロリン-プロリン)が増加する。
3.官能特性については、01-1株あるいはLactobacillus helveticus B-1株をたね菌として、各たね菌のみで製造した発酵乳、および各たね菌に01-7株を添加して製造した発酵乳の4種について分析型パネルを用いて評価している。01-7株を添加することで「濃厚さ」に対する評価値が有意に高くなることから、たね菌の種類に関係なく、01-7株は「濃厚な」食感を高めると考えられる(表1)。
成果の活用面・留意点 1.01-7株は乳の発酵能が低いため、乳発酵能の強いスターターと同時に接種する必要がある。
2.01-7株は特許実施契約により利用可能である。
3.発酵乳で検出された機能性ペプチドについては、ヒトにおける効果は評価していない。
図表1 244633-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/nilgs/2020/nilgs20_s17.html
カテゴリ 機能性 機能性成分 メタボローム解析

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