課題名 | 土壌・資材の評価と肥効改善による効率的養分管理技術の開発 |
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課題番号 | 2011017555 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,中央研,土壌肥料 (独)農業・食品産業技術総合研究機構,野茶研,茶業 |
協力分担関係 |
農業環境技術研究所 東京工業大 日本土壌協会 岩手県農業研究センター 山形県農業総合研究センター 福島県農業総合センター 茨城県農業総合センター農業研究所 栃木県農業試験場 群馬県農業技術センター 神奈川県農業技術センター |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2011 |
摘要 | 土壌の可給態窒素及び可給態リン酸の現場対応型診断法の開発・改良に関しては、a)土壌の可給態リン酸診断法として、劇物試薬や振とう機が不要な水抽出法を開発するとともに、計画を前倒しして抽出リン酸の簡易分析法を開発し、分析法マニュアルを作成した。b)水田土壌可給態窒素の簡易診断法では80℃16時間水抽出時にアスコルビン酸を0.1%以上添加することによる従来の4週間湛水培養との相関性の向上を確認し、迅速・簡易化の可能性を示した。c)土壌診断に基づく適正施肥実践のために1年前倒しで、最新の都道府県施肥基準やその関連資料に基づいて、施肥基準、減肥基準、有機物施用基準、土壌診断基準のファクトデータベースを、Excelワークシートを用いて作成した。このデータベースを収録した報告書は、行政部局、公設試験研究機関等に200部配布した。 家畜ふん堆肥のリン酸肥効の解明と資材化技術の開発については、豚ぷん堆肥を15年間連用した黒ボク土畑において、トルオーグ法による可給態リン酸の増加程度と、全リン酸の6~7割がAl態であるなどの化学形態の実態を明らかにした。 土壌に蓄積した養分の活用技術については、冬作緑肥の効果を検討し、エンバクとライムギがスイートコーンの生育・リン酸吸収を促進した。また、ソルガム、ヒマワリ、ラッカセイ、クレオメ、クロタラリアを夏作に用いると、コムギの生育・リン酸吸収が促進され、その効果は年次変動が大きいことを認めた。 接触施肥等による野菜の施肥リン酸利用率の飛躍的向上技術では、リン酸のセル内局所施用により、キャベツ苗に対する生育抑制を認めたが、春作(初夏どり)では、開発中の被覆肥料のうち溶出速度が比較的速いものや、速効性リン酸の比率が比較的高い資材が適していることを示した。また、リン酸肥沃度が低い土壌では、セル内施肥だけではリン酸供給が不足し、圃場へのリン酸施用が必要な場合があることを認めた。 茶では収量・品質を確保しつつ環境負荷を抑制する施肥削減技術の開発については、茶の品質に深く関わる芽出し肥の施用時期が遅れると1番茶での窒素利用率が低下し、土壌水分が少ない場合に低下が大きいことを明らかにした。 肥培管理が土壌生産力の長期的推移や環境負荷物質の発生に及ぼす影響については、a)基準点調査における土壌炭素量の変動を解析し、水田では化学肥料単用(稲ワラ持ち出し)で土壌炭素は維持されること、黒ボク土畑及び非黒ボク土畑では試験開始時の炭素含量が高いほど土壌炭素は減少しやすい傾向を認めた。b)露地野菜栽培における太陽熱消毒では、一酸化二窒素が畝間の土壌表面から放出されることを明らかにした。また、市販粒状配合有機質肥料や鶏ふん堆肥の施用に伴う一酸化二窒素の積算放出量のうち41~70%は、施肥後の太陽熱消毒期間中に生ずることを明らかにした。c)茶園では、石灰窒素やジシアンジアミドの施用により、1年間で畝間から発生する一酸化二窒素がそれぞれ慣行施肥の65%、34%減少することを確認した。また、アイソトポマー(同位体分子種)解析により、5~7月の一酸化二窒素の生成には、主に亜硝酸の還元に伴うものであると推察した。 このほか、農産物の放射能汚染対策に関して、a)水稲では関係各県と連携し、カリウムを慣行施肥の3倍量施用により、玄米の放射性セシウム濃度や移行係数が低下することを明らかにした。また、無カリ栽培を長期間継続した土壌では、移行係数が著しく高くなること、牛ふん堆肥を連用し土壌の交換性カリが充分な土壌では移行係数が低いことを示した。これらに基づき、土壌の交換性カリと玄米への放射性セシウムの移行係数の関係を明らかにし、緊急対策として、交換性カリ25mg/100gを目標とした土壌改良が推奨されることを示した。b)本年度の一番茶における放射性セシウム汚染は、古葉や枝条から吸収されたものが新芽へ転流したことが主因であることを示した。また、放射性セシウムの樹体内分布調査により、新芽への移行を低減するための緊急的手法として、せん枝処理が有効であることを示した。 |
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