タイトル | 国内生産拡大に向けた薬用作物主要5作目の栽培法 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 西日本農業研究センター |
研究期間 | 2016~2020 |
研究担当者 |
川嶋浩樹 矢野孝喜 尾島一史 村上則幸 久保堅司 澁谷幸憲 井上聡 横田聡 藤田直聡 岡崎圭毅 鈴木達郎 高田明子 大潟直樹 一木珠樹 佐藤豊三 川原信夫 菱田敦之 五十嵐元子 渕野裕之 安食菜穂子 林茂樹 三潴忠道 秋葉秀一郎 小林大輔 渡辺均 髙橋京子 髙浦佳代子 甲村浩之 野下俊郎 久保幹 横井直人 小野直毅 高橋玲子 江川孝二 山田真孝 諸橋修一 田村隆幸 由井秀紀 種石始弘 久松奨 小林泰子 三井友宏 米田健一 安永真 高木和彦 津田毅彦 白石豊 月足公男 伊東寛史 吉田勝一郎 高橋恒久 佐々木聡子 |
発行年度 | 2021 |
要約 | 需要が多い薬用作物のうち「トウキ」、「ミシマサイコ」、「カンゾウ」、「オタネニンジン」および「シャクヤク」の5作目について、作業の省力化、低コスト化と安定生産に資するためのマニュアルである。導入事例や経営モデルも収録し、薬用作物導入の参考になる。 |
キーワード | 中山間地域、産地形成、生薬、漢方製剤 |
背景・ねらい | 医薬品原料として使用される生薬は、約9割を輸入に頼っており、一部生薬では輸出制限がかかるなど安定的な調達が難しい状況になりつつある。一方、生薬原料となる薬用作物の国内生産拡大への要求の高まりに加え、薬用作物は耕作放棄地の活用や中山間地域の活性化につながる作目としても期待されている。しかし、多くの作目で輸入品に対抗し得る価格と品質の産品を国内で安定生産することが困難であり、それを可能にする技術が求められている。この状況を踏まえ、国内需要が大きいトウキ、ミシマサイコ、カンゾウ、オタネニンジン、シャクヤクについて、生産の低コスト化や安定化を可能にする技術を開発し、栽培方法を提示する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 本冊子は、生薬として需要が多い5作目、すなわち「トウキ編」、「ミシマサイコ編」、「カンゾウ編」、「オタネニンジン編」および「シャクヤク編」の5分冊である(図1)。 2. 各編では、共通事項として、まず「栽培の前に注意したいこと」において、一般農作物の生産と異なる点が多い薬用作物栽培に取り組む前の注意点が、「薬用作物の一般的な出荷先と取引形態」と「生産物の利用に関する注意点」の項目で具体的に明示されている。例えば、薬用作物は国内生産物の市場がなくほぼ全量が実需者(医薬品の製造に用いる生薬を取り扱う集荷業者、仲卸業者、生薬問屋、製薬会社)との契約で取引されていることなどである(図2)。 3. さらに、各作目の生薬としての性状や基原などの紹介に続き、栽培工程、栽培暦、主な管理作業、病害に関する情報等が掲載されている。開発した技術とそれらを導入した技術体系が導入効果とともに示され、最大で約80%の省力化効果を実証した結果(トウキにおける「野菜用機械を活用した省力機械化体系」)などが例示されている(図3)。 4. また、現地調査の結果に基づき例示された経営モデル(トウキ4件、ミシマサイコ2件、カンゾウ1件、オタネニンジン2件およびシャクヤク1件)は、これまで明らかにされていなかった薬用作物栽培を取り入れた経営実態を示す資料であり、薬用作物導入時の参考資料として有用である(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 従来と異なる栽培方法や技術を導入する際には、出荷先となる実需者と事前に十分な調整をした上で取り組む必要がある。 2. 生薬原料となる生産物の品質は、その規格が定められている。また生薬は基原が明確に定められており、栽培には基原植物(生薬の原材料として同定された植物)を用いなければならず、種苗の確保においても留意する必要がある。 3. 薬用作物栽培を始める際の相談窓口として、薬用作物産地支援協議会(薬産協、https://www.yakusankyo-n.org/index.htm)や農林水産省の薬用作物のページ(https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/yakuyou/yakuyou.html)などを参照するとよい。 |
図表1 | ![]() |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/warc/2021/warc21_s10.html |
カテゴリ | 機械化体系 経営管理 経営モデル しゃくやく 出荷調整 省力化 生産拡大 中山間地域 低コスト とうき にんじん 輸出 |