タイトル | 中食・外食用の多収米品種「ほしじるし」と「とよめき」 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研 |
研究期間 | 2001~2021 |
研究担当者 |
竹内善信 松下景 大森伸之介 荒井裕見子 後藤明俊 石井卓朗 佐藤宏之 平林秀介 常松浩史 田中淳一 加藤浩 根本博 小林伸哉 前田英郎 春原嘉弘 池ヶ谷智仁 安東郁男 太田久稔 出田収 井辺時雄 平山正賢 山口誠之 黒木慎 津田直人 |
発行年度 | 2021 |
要約 | 「ほしじるし」は中生の多収の粳種で、炊飯米は「コシヒカリ」よりわずかに硬く、粒がしっかりとして良食味である。「とよめき」は早生の極多収の粳種で、炊飯米は硬く、粘りすぎないことから冷凍チャーハン等への加工適性がある。両品種は、中食・外食用米としての利用が期待される。 |
キーワード | イネ、多収・良食味、炊飯米、中食・外食用 |
背景・ねらい | 近年、食生活や環境の変化にともない、中食・外食用米の消費量は増加傾向にある。今後さらに消費量が伸びると予想されていることから、炊飯米が型崩れしにくく、釜離れしやすい等の加工適性が優れる中食・外食用の多収米品種の開発が求められている。そこで、収量性が高く、炊飯米特性が優れた中食・外食用の品種を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 「ほしじるし」は「関東199号」と「関東209号(後の「さとじまん」)」との交雑後代から育成された粳種である。育成地における出穂期は「月の光」並の"中生の中"、成熟期は「月の光」並の"中生の中"に属する(表1)。稈長は「月の光」より短く、耐倒伏性は"強"である。玄米収量は「月の光」に対して早植・多肥栽培で15%程度多収である。いもち病真性抵抗性遺伝子型は"+"であり、葉いもち圃場抵抗性は"中"である。縞葉枯病に"抵抗性"である。炊飯米の硬さは「コシヒカリ」よりわずかに硬く、食味は「コシヒカリ」並の良食味である(図1)。 2. 「とよめき」は「イクヒカリ」と「和1289(後の「やまだわら」)」との交雑後代から育成された粳種である。育成地における出穂期は「コシヒカリ」並の"早生の晩"、成熟期は「朝の光」並の"中生の早"に属する(表1)。稈長は「コシヒカリ」より低く、耐倒伏性は"やや強"である。玄米収量は「コシヒカリ」に対して早植・多肥栽培で60%程度多収である。いもち病真性抵抗性遺伝子型は"Pib"を保有し、葉いもち圃場抵抗性は"弱"である。縞葉枯病には"罹病性"である。炊飯米の食味は中程度で、「コシヒカリ」より硬く、粘りすぎない(図1)。また、冷凍チャーハンの食味はA社の標準加工用品種と比較して遜色がなく、加工適性が高い(図2)。 3. 米穀業者、食品メーカー等の実需者や生産者団体と連携して普及を進めた結果、作付面積は拡大している(図3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 普及対象:JA全農、米穀業者、普及指導機関。 2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:「ほしじるし」と「とよめき」の普及予定地は関東以西である。「ほしじるし」は、岐阜で奨励品種に採用され、2021年度は茨城、栃木、岐阜、愛知、三重の5県で産地品種銘柄に指定され、約2000ha作付けされており、今後5000haまで拡大見込である。「とよめき」は、鹿児島で奨励品種に採用され、2021年度は茨城、千葉、石川、兵庫、熊本、鹿児島の6県で産地品種銘柄に指定され、約800ha作付けされており、今後2000haまで拡大見込である。 3. その他:「ほしじるし」は縞葉枯病に"抵抗性"を持つことから、麦との二毛作栽培にも適している。「とよめき」はベンゾビシクロン、メソトリオンおよびテフリルトリオンに対して"感受性"のため、これらを含む除草剤は使用しない。「とよめき」は、いもち病真性抵抗性遺伝子Pibを保有するが、葉いもち圃場抵抗性は"弱"のため、侵害菌の発生に注意するとともに、発生が見られた時は防除を徹底する。両品種の標準作業手順書(SOP)の作成を進めている。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/nics/2021/21_012.html |
カテゴリ | いもち病 加工 加工適性 縞葉枯病 除草剤 多収米 多収良食味 抵抗性 抵抗性遺伝子 二毛作 品種 防除 良食味 |