q.有機性資源の農地還元促進と窒素溶脱低減を中心にした農業生産活動規範の推進のための土壌管理技術の開発

課題名 q.有機性資源の農地還元促進と窒素溶脱低減を中心にした農業生産活動規範の推進のための土壌管理技術の開発
課題番号 2010014874
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 (独)農業・食品産業技術総合研究機構,中央研,資源循環・溶脱低減研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,近農研,広域農業水系保全研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,九州研,土壌環境指標研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,野茶研,資源循環・溶脱低減研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,畜草研,資源循環・溶脱低減研究草地サブチーム
協力分担関係 岐阜県畜産研究所
山形県農業総合研究センター
岩手県農業研究センター
新潟県農業総合研究所畜産研究センター
群馬県農業技術センター
神奈川県農業技術センター
高知県農業技術センター
東京工業大学
三重県農業研究所
福島県農業総合センター
研究期間 2006-2010
年度 2010
摘要  有機性資源の適正な農地還元を推進するため、1)有機質資材の連用における重金属元素のリスク管理技術について、農用地の土壌管理基準元素である亜鉛を対象に、九州地域の安山岩質黒ボク土での高含有率地点の簡易選別への帯磁率法の利用可能性を示した。また、有機物施用に伴って投入される亜鉛量が管理基準(120mg/kg)を越えないようにするための、投入亜鉛量に応じたモニタリング時期(例えば, 250~600g/10aでは連用15~20作、600~900g/10aでは連用10~15作)を示した。2)セル苗移植により、下層土への根の伸長が抑制され、客土圃場におけるホウレンソウ可食部のカドミウム濃度を低減できることをモデル的な試験で示した。 農業生産活動に伴う硝酸態窒素の流出負荷低減に向けて、1)19年度に開発した窒素動態モデルSOILN-jpnが褐色低地土と灰色低地土でも適用可能なことを既存の窒素溶脱試験データを用いて確認した。また、21年度に実測した堆肥連用後の圃場における施肥窒素の削減による硝酸溶脱低減効果をSOILN-jpnで予測できることを確認し、本モデルが負荷低減効果の評価手法にとして活用できることを確認した。2)草地では、草地管理に対応した窒素溶脱負荷を算出する研究者向け採草地施肥管理モデルを完成させ、年間の堆肥施用量を半減(6kg/m2を3kg/m2に)し、牧草刈り取り回数を減少(4回を3回に)することにより、窒素溶脱量が50%以下になることを開発モデルで確認した。放牧草地については、実測値との適合性評価に基づく窒素の空間的移動のプロトタイプモデルを開発し、実態にほぼ近似される窒素の谷への集中パターンが示されるとともに、谷幅20mの範囲を無施肥とすることにより窒素の集中が緩和されることを確認した。また、集約的酪農地帯でのアンモニアを介した家畜ふん尿窒素は、その発生量の半分以上が地域内に沈着することを明らかにした。 作物養分要求に基づく高機能家畜ふん堆肥の施用技術を開発するため、1)堆肥化過程で発生するアンモニアを付加して成分バランスを改善した窒素付加堆肥を慣行の堆肥や化学肥料と比較し、施用有機物にともなう土壌中でのカリウムの動態は資材の種類によって異なり、化成肥料に比べ堆肥でカリウムの保持傾向があり、また、窒素付加堆肥は慣行の堆肥と化成肥料の中間的な保持特性を持つことを明らかにした。2)ペレット化した堆肥について、作物根の侵入性や養分放出性等と関係する堆肥ペレットの施用後の形態変化の観察には、ペレットの樹脂含浸による固化・切断・研磨によって作成した薄片プレパラート法が適することを示した。また、窒素付加堆肥ペレットの亜酸化窒素の発生量は資材原料や製造ロットなどによらず、非窒素付加堆肥ペレットより小さい傾向にあることを室内実験によって確認した。3)堆肥中から分離した硝化活性を持つ高温耐性の菌株が、生理生化学性状試験等の結果から新規なバチルス属であることを示し、特許出願した。 閉鎖系水域における水質保全を目指して、1)香川県の26流域について、河川河口部の全窒素・全リン濃度・CODを流域の土地利用面積率のみから予測するモデルを開発した。また、市町別作付統計、標準施肥量、作物吸収量データ等から算出した流域平均非吸収施用窒素量と河口全窒素濃度の間には対数関数で近似される関係を、流域平均非吸収施用窒素量と流域平均地下水硝酸性窒素濃度の間には一次の関係を認め、流域平均非吸収窒素量25kg/ha以上の流域は施肥削減技術の導入などの水質保全対策を講じる必要があることを示した。2)香川県高瀬川流域におけるモデル解析の結果、既往の開発技術等を導入して現況施肥量の3割を削減するシナリオでは、窒素負荷量が9%減少、農耕地の10%を占める不作付地の活用シナリオでは5%増加、両シナリオの同時実施では6%減少することが予測された。3)岡山県からの河川および海域直接負荷は、香川県のそれらに比べて備讃瀬戸の栄養塩状態に及ぼす影響が大きく、吉井川では水量増加による硝酸性窒素、リン酸態リンの増加程度が高く、水質保全対策を講じる必要が高いことを示した。4)施肥に伴う負荷低減では、日射制御型拍動自動潅水装置による露地夏秋ピーマンの灌水同時施肥栽培において、施肥量を30%削減して、収量を11~24%上げることができた。同潅水システムは、全国7府県152農家に普及した。また、鉄イオン負荷炭の硝酸吸着能は土壌混和条件でも85%程度維持されること、可給態のトルオーグリン酸が60mg/100g乾土の灰色低地土におけるトマトのかん水同時施肥栽培では、50%程度のリン酸減肥が有効であることを明らかにした。
カテゴリ 土づくり 肥料 管理技術 高温耐性 施肥 施用技術 土壌管理技術 トマト 乳牛 ピーマン ほうれんそう モニタリング

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