暖地・温暖地向けのもち性二条大麦新品種「くすもち二条」

タイトル 暖地・温暖地向けのもち性二条大麦新品種「くすもち二条」
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2003~2016
研究担当者 平将人
杉田知彦
中村和弘
境哲文
松中仁
塔野岡卓司
西尾善太
河田尚之
荒木均
藤田雅也
八田浩一
久保堅司
小田俊介
波多野哲也
関昌子
発行年度 2017
要約 「くすもち二条」は暖地・温暖地の平坦地に適応する皮性のもち性二条大麦である。「ニシノホシ」と比較して、出穂期は同等で、成熟期は2日程度早い。短稈で穂が長く、穂数および整粒歩合は同等だが整粒重は重い。β-グルカン含量が多く、精麦および炊飯麦の黄色みが強い。
キーワード 二条オオムギ、新品種、早生、もち性、β-グルカン
背景・ねらい 2012年に大手精麦実需者からもち性大麦を使用した製品が定番商品として発売されて以来、その機能性などがマスメディアで度々取り上げられるようになり、もち性大麦の需要が急増した。しかし、原料の大部分は外国産で、実需者から国産原料の供給拡大が強く求められている。国内でもち性大麦の作付を振興するためには、現在普及しているうるち性大麦品種と同等以上の早熟性、収量性、病害抵抗性等を有するもち性大麦品種の育成が必要である。そこで、登熟期間の環境が高温多湿で、梅雨入りが早い暖地で栽培可能なもち性大麦品種を育成して、実需者から求められている国産もち性大麦の供給拡大を図る。
成果の内容・特徴 「くすもち二条」は「関東二条35号(のちの「サチホゴールデン」)」を母、もち性の「羽系B0571」を父として人工交配を行い、派生系統育種法により育成された皮性のもち性品種である。「ニシノホシ」と比較して、以下の特徴がある。
  1. 出穂期は同等で、成熟期は2日程度早い早生種である(表1)。
  2. 稈長は短く、穂長は長い(表1)。穂数および整粒歩合は同等だが整粒重は重い(表1)。
  3. 容積重は軽いが千粒重は同等で、原粒の外観品質はやや劣る(表1)。
  4. 搗精時間は長く、砕粒率は低い(表2)。
  5. 精麦の明るさおよび赤みは同等だが、黄色みが強く、白度はやや低い(表2、図1)。
  6. 炊飯麦の明るさは低く、赤みは同等で、黄色みは強い(表2、図1)。
  7. 原粒、精麦のいずれもβ-グルカン含量は多い(表1、表2)。
  8. 播性は同等のIで、穂発芽性はわずかに優れる"中"である。
  9. オオムギ縞萎縮ウイルス系統I~V型、オオムギ萎縮病、うどんこ病に対する抵抗性は"極強"で、赤かび病抵抗性はわずかに劣る"中"である。
  10. 官能検査による炊飯麦の評価では、胚乳の色は劣るが、軟らかさおよび粘りは優れる(表3)。 
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:大麦生産者および実需者
  2. 普及予定地域・普及予定面積:暖地および温暖地の平坦地。2017年播種の普及面積は福岡県で69haの見込み。
  3. 2018年3月に福岡県における普通大粒大麦の産地品種銘柄に設定された。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/popular/result010/2017/17_032.html
カテゴリ 育種 萎縮病 うどんこ病 大麦 機能性 新品種 抵抗性 播種 病害抵抗性 品種

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